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【医師監修】毛根がなくなる?AGAによる毛母細胞の変化と休止期・成長期との関係
AGAになると毛根がなくなる?AGAがもたらす毛母細胞の変化とヘアサイクルへの影響とは?
「AGAになると毛根が死滅して2度と髪が生えてこない」、という噂を耳にしたことがあるでしょうか?
この噂はあながち間違いではなく、AGAを治療せず放っておいた場合症状が進行して最終的に髪の毛が生えてこない状態になることは医学的に明らかになっています。
そのためAGAの症状である薄毛や抜け毛が見られたら、すぐに毛根が死滅して髪の毛が生えなくなってしまうのでは?と不安になる人がいることでしょう。
今回はAGAについて気になっている男性に、正しい知識を持って治療の検討や継続してもらうため「AGAがもたらす毛母細胞の変化とヘアサイクルへの影響について解説します。
AGAは早期の適切な治療が大切な脱毛症ですので、相談のタイミングを逃さないためにもぜひ今回の記事を参考にしてください。■この記事の著者■ AGA薄毛予防治療クリニック 医師
柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)
名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。
毛根や毛母細胞にはどんな働きや特徴がある?髪の毛の成り立ちの基礎知識
わたしたちが日常目にする「髪の毛」と認識している部分は、「毛幹」と「毛根」に頭皮を境に分けられており、頭皮より外側に生えている部分を「毛幹」、は頭皮の内部に存在する部分全体を「毛根」といいます。
「毛根」のことを、髪の毛の根本に見られる丸く膨らんだ部分だと思っている人にとっては意外ではないでしょうか。
髪の毛には各部位によって違う名称や働きがありますので、髪の毛の成り立ちにおいて重要な「毛根」や「毛母細胞」をはじめとする髪の毛の組織について詳しく見ていきましょう。髪の毛と頭皮の各部位の名称と働き
・毛幹(もうかん):頭皮の外側に露出している部分で、一般的に「髪の毛」と認識されている部分で、体毛の場合も同じく毛幹と呼ばれ頭皮や体の皮膚を外部の刺激や衝撃から守る働きがあります。
毛幹には神経や血流はなく、切れても痛みや出血はありません。
主にタンパク質で作られていますが、体内のミネラルや有害物質を含んでいるため「毛髪ミネラル検査」といった体内物質の分析に利用することがあります。・毛根(もうこん):頭皮内部に存在する髪の毛の組織全体のことを指し、毛根の根元には髪を作り出す「毛球」があり、毛根全体は「毛包」によって守られています。
毛根は普段目にすることはできませんが、根元に向かって太くなり丸みを帯びた形をしており、「毛根鞘」と呼ばれる組織により抜けにくいように固定されています。
健康な毛根は根元が小さく膨らみ白いことが特徴ですが、髪の毛や頭皮に何らかのトラブルが生じている場合は根本に膨らみがなくギザギザしていたり尖っており、黒いという特徴が見られます。・毛包(もうほう):毛嚢(もうのう)とも呼ばれ、毛根と皮下組織を遮り髪の毛が伸びるための通路になるとともに髪の毛を覆って保護しています。
頭皮に面した部分は「毛孔」となり、いわゆる「毛穴」として目にする機会があるでしょう。
毛包の上部には「皮脂腺」が開口しており、皮脂を分泌する役割もあります。・毛球(もうきゅう):毛根の最下部の球状に膨らんだ部分を指し、毛球の中には髪の毛の成長に非常に重要な「毛母細胞」と「毛乳頭細胞」が詰まっており、毛包壁と毛包により守られて最下部には毛細血管が張り巡らされています。
・毛乳頭細胞(もうにゅうとうさいぼう):毛乳頭細胞は毛細血管を流れる血液中の栄養分や酸素を取り込み、髪の毛の元となる毛母細胞に栄養や酸素を受け渡すとともに発毛指令を出す働きがあります。
毛乳頭細胞には発毛指令とは逆に、「TGF-β」という脱毛因子による脱毛指令を受け髪の成長をストップさせる働きもあります。
つまり、毛乳頭細胞は「発毛と脱毛の切り替えができるスイッチ」のような役割があるとわかります。・毛母細胞(もうぼさいぼう):毛母細胞は髪の毛の元となる細胞であり、毛乳頭細胞や毛幹細胞からの発毛指令を受けて細胞分裂を繰り返して髪の毛を作り出します。
毛母細胞が活発に細胞分裂すると、細胞は角化して髪の毛を形成して頭皮外まで上に伸びて成長していきます。
角化の段階で、毛母細胞の周りにあるメラノサイトからメラニン色素を取り込むことによって髪の毛には黒く色がつきますが、もとの髪の毛には色がないため、メラノサイトや毛母細胞の働きが弱まると色がつかずに「白髪」として成長していきます。ヘアサイクルにおける成長期や休止期とは?髪の毛の生えかえわりについての基礎知識
髪の毛は日々成長していますが、一定の期間を経過すると成長が止まり抜け落ちて、また新しい髪の毛が生えてくるサイクルを繰り返しています。
この生え変わりのサイクルのことは「ヘアサイクル(毛周期)」と呼ばれており、男女差や個人差がありますが誰にでも備わっている体のメカニズムのひとつで「成長期」「退行期」「休止期」という3つの段階に分けられています。
ここではヘアサイクルにおける成長期や休止期についての基礎知識と、成人男性におけるヘアサイクルの特徴について解説します。ヘアサイクル(毛周期)とは3つの時期で構成された髪の毛の生え変わり周期
①成長期:毛母細胞が活発に細胞分裂して、髪の毛が太く長く成長している段階で、1日に約0.3mm〜0.4mm伸びると言われています。
成長期は髪の毛全体の85%〜95%を占めており、正常なヘアサイクルでは頭部のほとんどの部分は髪の毛で覆われていますので、薄毛や脱毛斑が見られる場合は何らかの理由で成長期に異常をきたしていると考えられます。②退行期:成長期が一定期間経過して、毛乳頭細胞の働きが弱まり髪の毛の成長が遅くなった段階です。
退行期は2〜3週間続き、その間に毛乳頭細胞は毛母細胞と離れるため、発毛指令が届かなくなり栄養や酸素の供給も減り髪の毛が成長しにくくなるのです。③休止期:毛乳頭細胞が完全に活動を停止して、毛母細胞への発毛指令や栄養と酸素の供給が行われなくなり髪の毛の成長がストップする段階です。
休止期は2ヶ月〜3ヶ月続き、その間に髪の毛の成長に合わせて大きくなっていた毛包が退縮するため、髪の毛の維持が難しくなりシャンプーやブラッシングなどの軽い外力が加わっただけで抜けることがあります。
休止期を経た毛乳頭細胞は、再び活動を再開して毛母細胞に発毛指令を出すとともに栄養や酸素を供給し始めます。
毛母細胞の分裂とともに毛包も再び大きくなり、新しい髪の毛が伸びるサポートのため成長を終えた髪の毛は押し上げられるようにして自然に抜け落ちます。成人男性のヘアサイクルの特徴
成人男性のヘアサイクルは3〜5年と言われており、生涯で15〜20回程度繰り返すと言われています。
しかし、男性にはさまざまな原因で「ヘアサイクルの乱れ」が起きる可能性があります。
男性のヘアサイクルの乱れを引き起こす主な原因には「不規則な生活習慣」、「栄養不足や不規則な食生活」、「過度なストレス」、「AGA(男性柄脱毛症)」などが挙げられており、これらによりヘアサイクルの成長期が短縮されると言われています。毛根が死ぬってどういうこと?毛母細胞が消滅する可能性について
薄毛や抜け毛の症状が起こったときに、「毛根が死んでしまった」と考える男性がいるかもしれませんが、毛根は頭皮下に存在する髪の毛全体の組織を指し、毛孔や毛包は髪が生えなくなっても残りますので「毛根が死ぬ」という表現は適切ではないでしょう。
毛母細胞がなければ髪の毛が生えることはありませんので、薄毛や抜け毛の症状には「毛母細胞」の状態が大きく関係しています。
そこで、薄毛や抜け毛の症状が起こったときに毛母細胞にどんな変化が起きているのか詳しく見ていきましょう。毛母細胞が死滅するケースは少ないがゼロではない
毛母細胞が死滅した状態とは、毛母細胞が全く機能しなくなる状態と言い変えられますが、毛母細胞が機能しなくなる要因は大きく2つあります。
①生涯のヘアサイクルを終えた場合:毛母細胞は人間の体内にある他の細胞と同様、活動のピークを迎えた後は衰えてやがて活動を終えます。
毛母細胞が活動を終えるヘアサイクルの終了時期については、70歳を過ぎても活発に細胞が活動している男性もいれば、20代でヘアサイクルが終了することもありますので、タイミングには個人差が大きいと言えるでしょう。②毛母細胞が著しい損害を受けた場合:頭皮の奥深くにまで及ぶような火傷や傷を負ったり、薬や放射線の影響で毛母細胞が破壊されてしまうと毛母細胞が機能しなくなることがあり、この場合は機能が再生する可能性はほとんどないでしょう。
また、頭皮の炎症が慢性化して何年も経過した場合にも毛母細胞が機能しなくなる可能性がありますので、ちょっとしたかゆみだと炎症を放置するのは危険ですので早めに皮膚科を受診するなど対処しましょう。毛母細胞の働きが弱まると薄毛や抜け毛が起こりやすい
毛母細胞が完全に機能しなくなるケースは稀ですが、働きが弱くなってしまうと細く弱い毛しか作り出せなくなり薄毛や抜け毛を引き起こす可能性が考えられます。
毛母細胞の働きを弱める要因としては主に以下の2つに注意が必要です。①過剰な活性酸素:活性酸素は免疫機能や感染防御に必要ですが、過剰に産生されると細胞を傷害していろいろな病気の原因になることがわかっています。
毛母細胞も過剰な活性酸素による影響で働きが弱まるため、活性酸素増加の原因である「飲酒や喫煙」、「過度なストレス」、「加齢による抗酸化力の低下」には注意が必要でしょう。②過剰なTGF-β:TGF-βは先述の通り毛乳頭細胞に脱毛指令を伝える「脱毛因子」です。
正常なヘアサイクルにはTGF-βが必要ですが、過剰に生成されると本来活動を続けるべき成長期途中の毛母細胞にまで影響して成長期を短縮してしまいます。
成長期の短縮は毛母細胞の働きを中断させてしまうため、細く短い毛の増加による薄毛や抜け毛が起こりやすくなります。AGAによる毛母細胞の変化とは
AGA(男性型脱毛症)はAndrogenetic Alopeciaの略で、男性ホルモンと遺伝が関与する脱毛症で、成人以降に薄毛や抜け毛で悩む男性の原因の約90%を占めると言われています。
AGAによる薄毛や抜け毛は、男性ホルモンに由来して脱毛因子が増えることが原因のひとつだと言われています。
脱毛因子の過剰な増加は毛母細胞の働きを弱める要因になりますが、AGAでなぜ脱毛因子が増えるのかをAGAのメカニズムから解説します。AGAのメカニズムとは
男性の睾丸から分泌された「テストステロン」という男性ホルモンが、血液を通して頭皮に存在する「5αリダクターゼ」という酵素と結びつくと「ジヒドロテストステロン(DHT)」という別の男性ホルモンに変換されます。
ジヒドロテストステロンは、前額部や頭頂部に多く存在する毛乳頭の中にある「男性ホルモンレセプター(ホルモン受容体)」に取り込まれると髪の毛の成長をストップさせる働きのある脱毛因子「TGF-β」を産生します。
ジヒドロテストステロンの量が増えることでTGF-βの産生量も増えるため、5αリダクターゼの活性度や男性ホルモンレセプターの感受性が高いほどAGAが起こりやすくなり、これには遺伝による影響が大きいことがわかっています。AGAでは毛母細胞の働きが弱まる
脱毛因子のTGF-βの作用により毛乳頭細胞の活動が停止すると、発毛指令が出されなくなると同時に細胞分裂に必要な酸素や栄養の供給もストップするため、毛母細胞の働きが弱まりやがて活動を停止します。
毛母細胞の働きが低下すると、本来太く長く成長していくはずのうぶ毛の状態のまま抜け落ちてしまうため、髪の毛のボリュームが減ったり頭皮が透けて見える薄毛の症状が見られるようになります。AGAによるヘアサイクルの休止期や成長期への影響とは
AGAによる毛根や毛母細胞の活動低下が見られると、ヘアサイクルに乱れが生じて薄毛や抜け毛の症状が現れることがわかっていますが、具体的にAGAがヘアサイクルの休止期や成長期にどんな影響を及ぼしているのかを知り、AGAについての理解を深めていきましょう。
AGAがヘアサイクルに与える影響①成長期が短縮される
AGAは進行性の脱毛症のため、進行スピードには年齢や個人差はありますが自然治癒することはないと言われています。
AGAの原因は遺伝や男性ホルモンに由来していることがわかっていますが、どちらも本来備わっている体のメカニズムのため自然に変わる可能性はほとんどありません。
AGAの発症には還元酵素による男性ホルモン変換や、ホルモンを取り込む感受性などのさまざまな要因が作用し合うことで結果的にヘアサイクルの成長期を短縮させています。
成人男性の正常な成長期は約3年〜5年ですが、AGAを発症すると数ヶ月〜1年ほどに短縮され、発症年齢が若いほど進行が早く症状が出やすいと言われています。AGAがヘアサイクルに与える影響②休止期が長くなる
正常な成人男性の休止期は約2〜3ヶ月の期間続き、ヘアサイクル全体の10%程度を占めています。
しかしAGAを発症した場合、成長期の短縮とともに休止期は延長するため毛包が収縮した状態が長くなり、新しい毛が成長しにくくなる可能性があります。
正常なヘアサイクルでは。同じ毛包から複数の髪の毛が生えてくることがよくありますが、AGAを発症して休止期が長くなると1つの毛包から1本しか生えてこなくなり、産毛のような細く弱々しい髪の毛になりやすいと言われています。毛母細胞の活性化のためのおすすめケア
髪の毛は毛母細胞が細胞分裂して生成されるため、より成長しやすくするためには毛母細胞自体が活発に働くことが必要です。
そこで、日々の生活の中でできる毛母細胞活性化のための対策を紹介しますので、髪の毛を太く長く健康に成長させるためにできることからすぐに始めることをおすすめします。
また、AGAは成人以降いつでも発症する可能性があるため、薄毛や抜け毛といったAGAの兆候がないか日々チェックして異変を感じたらすぐにAGA専門のクリニックなどに相談して、必要な治療を開始することが大切です。AGA治療薬の外用
AGA治療薬には主に2種類あり、ひとつ目は「プロペシア」や「ザガーロ」の名前で有名な「5αリダクターゼ阻害薬」です。
5αリダクターゼを阻害しジヒドロテストステロンの生成を抑えることにより、脱毛因子の発生を防ぐための内服治療薬です。
毛母細胞を活性する働きはありませんが、AGAの原因が治療できるため症状により使用がすすめられます。
2つ目は「ミノキシジル」という外用薬で、こちらは血管拡張作用により毛母細胞や毛乳頭細胞を活性させる働きが期待できるため、AGAの進行いかんにかかわらず使用をおすすめします。
1日2回朝晩頭皮の気になる場所に直接塗布することで、毛母細胞の活性化が期待できます。
外用薬には重篤な全身性の副作用は認められておらず既往症がある男性でも使用できることが多いため、内服治療に抵抗がある男性でも始めやすいので検討してはいかがでしょうか。良質な睡眠で「成長ホルモン」を分泌させる
「成長ホルモン」は骨や筋肉とともに髪の毛を成長させるためのホルモンで、入眠後最初に訪れる深い睡眠時に多く分泌されることがわかっています。
睡眠時間が短かったり、浅い眠りが続いているといった質の良くない睡眠では成長ホルモンが分泌されにくいため、睡眠時間は6時間程度確保し、深い睡眠のためには光刺激や食事や入浴などの刺激を入眠2時間前には避けるようにしましょう。髪の毛の成長に必要な栄養が豊富な食生活を心がける
毛母細胞の細胞分裂を活発にするためには豊富な栄養と規則正しい食生活が必要です。
髪の毛の主成分はケラチンという「タンパク質」ですので、動物性と植物性両方の脂質が少ない良質なタンパク質を摂りましょう。
また、「亜鉛」はケラチンの合成を補助し、「ビタミンA.B.E」は血行促進や育毛効果が期待できるため積極的に摂りたい栄養素です。
さらに、これらの栄養をバランスよく規則的に摂ることが大切で、常に毛母細胞が活性されている状態を維持するためには1日3食決まった時間に大体同じ量の食事ととることを心がけましょう。まとめ|毛母細胞の活性化とヘアサイクルの正常化には早めのAGA治療がおすすめ
「毛根が死んで髪が2度と生えてこない」という状況は、毛母細胞の寿命や外傷などによるため普段あまり身近に起きることではありません。
しかし、毛母細胞の働きが弱まって髪の毛が成長しにくくなったり、ヘアサイクルに影響を及ぼして薄毛や抜け毛を引き起こす原因になるAGAは成人男性誰もが発症する可能性を持っています。
今やAGAは成人男性の3人に1人の割合で発症すると言われていますので、他人事ではない身近な脱毛症だと意識しておくことが大切です。
もし髪の毛のボリュームダウンや抜け毛の増加など、AGAの症状の可能性に気づいたらなるべく早い段階でAGA専門クリニックに相談し、毛母細胞の活性化やヘアサイクルの正常化のための対策を始めましょう。監修した医師の紹介
■この記事の著者■ AGA薄毛予防治療クリニック 医師
柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)
名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。
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