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「実は円形脱毛症?」医師が詳しく解説
「いつのまにか髪の毛がなくなった」「抜け毛が止まらず、薄毛になっている」
日本の成人男性4,200万人のうち、1,260万人はなっているとされる男性型脱毛「AGA(エージ―エー)」。このAGAは進行性のため放っておいても薄毛の進行は治らずあなたがもしAGAであれば髪の毛は減り続け・段々薄毛が気になりやがて無くなっていきます。当院で受診される方に一定数見受けられるのが円形脱毛症、以前まではストレスで起こるストレス性脱毛などと言われてきましたが、最近の研究ではその病態は徐々に解明されてきています。
毛髪は生物学的にいろいろな機能を持っていますが、現代人にとって自己表現の一つであり、脱毛は見た目の問題としても深刻な悩みになることがあります。
ここでは病型や診断、遺伝的な素因や発症の誘引などの病態や治療について書いてみたいと思います。
■本記事の著者■ AGA薄毛予防治療クリニック医師
柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)
名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。
これまでの薄毛解消の実績含めてプロペシア・ザガーロ・フィナステリド・デュタステリドなどのAGA治療薬の適切な処方に定評がある。
円形脱毛症の種類
円形脱毛症は聞きなれた言葉だと思います。しかし円形脱毛症には実は多様な形があり、典型的な形態から実はこれは円形脱毛症なのです、といわれるものまで様々です。
円形脱毛症には単発型、多発型、全頭型、汎発型、蛇行型、逆蛇行型急性びまん性全頭型など8種類に分けられています。毛髪には成長期、退行期、休止期という毛サイクルがあります。頭部の毛髪ではその9割が成長期といわれており、円形脱毛症は男性型脱毛症(AGA)などと異なり成長期脱毛を呈する疾患です。
どのようにして円形脱毛症だと診断するのか?
円形脱毛症の診断は患者の病歴を聞いて参考にし、頭皮をダーモスコピーという拡大鏡で観察をして診断と分類をします。円形脱毛症のダーモスコピーの所見では切れた毛髪の基部が黒点として見える、毛髪の直径が毛包の方向に向かって細くなる漸減毛、途中で切れた毛髪の直径が毛包の方向に漸減している状態の感嘆符毛、毛孔に色素を失った毛幹や皮脂が詰まった状態の黄色点などが観察されます。漸減毛と感嘆符毛は違いが分かりにくいのですが、漸減毛が皮膚表面で切れて黒点を呈しその後伸びてくると感嘆符毛の形になると考えられています。円形脱毛症ではしばしば色素を失った毛髪を認めますが、これはメラニン色素量の低下によるものです。色素細胞の活動性の低下が原因ですが、メラニン合成の盛んな成長期毛がターゲットにされる自己免疫性脱毛であるためで、成長期毛の活動が徐々に低下し休止期に移行するためメラニン色素量が減り、毛包が小さくなっていきます。
円形脱毛症は遺伝?原因は?
円形脱毛症は同じ人が再発を繰り返したり、親子や兄弟で発症する例が少なくありません。また一卵性双生児では55%の確率で同様の時期に発症するといわれており、遺伝的な背景があると考えられています。この遺伝的な素因に何らかの誘引が働いて発症するといわれていますが、その誘引は精神的ストレス、栄養状態、感染症、ワクチン接種、薬剤、出産などさまざまな報告があります。円形脱毛症の部位の顕微鏡での観察では毛包周囲への炎症細胞の浸潤がみられ、多くの免疫に関する物質や免疫細胞の関与があることが分かってきています。それにより円形脱毛症は自己免疫反応による脱毛と考えられるようになってきています。一度発症すると寛解と憎悪を繰り返し慢性的に経過します。
円形脱毛症の治療について
発症も幼少期から高齢者まで幅広くみらられていますが、確実に発毛効果が期待できる治療法はまだ存在していません。日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドラインには多くの治療法が記載されていますが、いずれも推奨度は高くありません。円形脱毛症は無治療でも自然に軽快することがあるため、新たな治療法を試みた結果発毛が認められたとしても、それが治療によるものか自然の経過なのか判定が難しいことがあるのです。また高い科学的な根拠に基づいた臨床研究が少ないことや、発毛を強力に促進させることが可能な治療法がまだないことによりうこうせいます。決め手となる治療法はありませんが、ある程度の効果が認められている治療はあります。治療法として、ステロイド局所注射、局所免疫療法、ステロイド外おる用療法、ステロイド内服療法、静脈注射によるステロイドパルス療法、ステロイド以外の内服療法、ステロイド以外の外用療法、冷却療法、紫外線療法、治療せず経過観察のみ行うなど多くの方法があります。
ステロイド局所注射は脱毛部にステロイドの局所注射をするものですが、局注したう部位で脱毛が改善することが示されており、ガイドラインでは単発および多発型の成人例に行うよう勧めるとされています。外来診療の場で安全に行えることから症状が固定した成人に対し第一選択となる治療法と考えられるが、小児例では痛みがさうは強いため長期観察した症例が少なくガイドラインでは推奨されていません。
局所免疫療法はある種の化学物質を頭部に塗布し接触性皮膚炎を起こさせることで円形脱毛症を治療する方法です。ガイドラインでは脱毛面積が25%以上の多発型、全頭型などの症例に対して第一選択の治療法とされています。
ステロイド外用療法は脱毛部に比較的強いステロイド外用剤を1日1~2回塗布する治療法で有効性が報告されておりガイドラインでも単発型から多発型の円形脱毛症に推奨されている。
ステロイド内服療法では投薬期間は1カ月としています。この治療法は休薬後の再発率が高く、長期的な予後の改善や再発例への有効性を示す科学的な根拠がないため副作用を考慮し期間を限定しています。
ミノキシジルは男性型脱毛症や女性の脱毛症に有効性はあるが、円形脱毛症には十分な効果は得られず広範囲の脱毛には無効であるといわれています。しかし海外での診療実績が考慮されガイドラインでは併用療法の一つとして行ってもよいとされています。その他の治療法もガイドラインでは行ってもよいという程度の評価が多くあります。
最後の治療をせず経過観察のみを行う方針は、すべての円形脱毛症に対して有効な治療法はなく、また長期にわたって治療しても改善するという科学的な根拠もなく、円形脱毛症は炎症細胞による攻撃を受けたために起こっていることから炎症が治まり寛解すれば毛包の再生が期待できるということから、ガイドラインでは経過観察をするという選択肢を提示してもよいと記載されています。
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医師紹介
■この記事の著者■ AGA薄毛予防治療クリニック 医師 柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)
名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。
これまでの薄毛解消の実績含めてプロペシア・ザガーロ・フィナステリド・デュタステリドなどのAGA治療薬の適切な処方に定評がある。
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