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髪が細いとはげるは本当?髪の太さと薄毛の関係について解説
世間一般に広まっている「髪が細いと将来ハゲる」という噂を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。髪の太さや質は持って生まれた性質であることが多く、人によってさまざまです。もし髪が細いとはげるという噂が本当であれば、ハゲは体質や遺伝が原因ということになりますが、その真偽がどうなのか気になりますよね。また、「もともと太い髪だったのがふと気づいたら細くなってきた」という髪の変化の場合はハゲと関係があるのでしょうか?今回は髪の細さと薄毛の関係について、噂の真偽を解説します。細くなってきた髪のケア方法についても紹介しますので、髪の細さが気になっている男性はぜひ参考にしてください。
■この記事の著者■ AGA薄毛予防治療クリニック 医師
柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)
名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。
細い髪の毛と太い髪の毛を見分ける基準とは
世間一般では漠然と「髪が太い・髪が細い」という表現が使われていますが、人によって髪の太さは違うため自分の感覚で髪が太い細いを判断している人がほとんどではないでしょうか。では髪の細い太いはどう見極めたらよいのでしょうか。ここではまず髪の構造や基準となる太さの平均値から、髪の太い細いを具体的に見ていきましょう。
髪の構造
髪は3層構造でできており、断面は巻き寿司のように見えます。中心に「メデュラ(毛髄質)」という髪の透明感やツヤに関係する組織があり、その周りに水分保持や強度を担う「コルテックス(毛皮質)」が巻き寿司のご飯の部分のように髪の大部分を形作っています。そして「キューティクル(毛表皮)」が外側を覆い、外部の刺激から髪を守る働きをしています。この構造から、髪の太さは「コルテックス」の量によって違いが出ることがわかります。コルテックスは主成分が繊維状のタンパク質で、脂質や水分やメラニン色素が含まれており、髪の太さはタンパク質、髪の硬さやハリツヤは脂質や水分、髪の色はメラニン色素がそれぞれを担っています。
成人男性における髪の太さの平均値
日本人男性における髪の直径の平均値は「約0.08mm」といわれています。実際には0.05mm~0.15mmと髪の太さには個人差がかなりあることがわかります。髪の太さには人種による違いもあり、欧米人では髪の直径の平均は約0.05mmのため、日本人と比べると細いことがわかります。
細い髪と太い髪の見分け方
髪の細い太いを見分けるには2つの方法があります。髪の太さが気になったら、できる方法でチェックしましょう。
①髪の直径の平均値から判断する:日本人男性における髪の直径の平均値は「0.08mm」ですので、この値を基準に細いか太いか見分けましょう。とはいえ自分で抜け毛の直径を測ることは難しいため、マイクロスコープなどで髪を拡大して計測する必要があります。皮膚科や育毛サロンで髪の太さを測ってもらうという方法の他に、近年ヘアサロンでもヘッドスパなど頭皮ケアが充実している施設が増えており、マイクロスコープや拡大鏡による頭皮チェックが気軽に受けられる場合がありますので、活用してもよいでしょう。
②セルフチェック:10cmほどの長さの自分の髪の毛を1本用意し、地面と並行になるよう両端を指で挟んで持ちましょう。そして片方の指を離して髪の動きをチェックします。太い髪の毛は並行のままの状態をしばらくキープできますが、細い髪の毛の場合はすぐに毛先が地面のほうに垂れ下がってしまいます。したがって、地面に向かって垂れ下がるのが早ければ早いほど細い髪の毛ということになります。なお、このチェックの際は抜け毛でも生えている毛のどちらでもできますので両方チェックしてみることをおすすめします。細い髪の特徴と原因
人間の髪の毛は生涯通して同じ太さを保つわけではありません。男性の場合10代後半から20代前半にかけて髪の太さはピークとなり、20代後半から少しずつ細くなっていく傾向があります。そのため髪が細くなること自体は不思議ではないのですが、太かった髪が急激に細くなる場合は注意が必要です。まずは「自分の髪が細い」と感じたら、「先天的にずっと細い髪なのか、以前は太かった髪が今は細くなっているのかどちらに当てはまるのかチェックしておきましょう。
髪の毛が先天的に細い場合
髪の太さを決めるコルテックスの量は、遺伝子情報で生まれつき大体の量が決まっています。そのため親や兄弟など家系に細い毛が多い場合は、遺伝で髪が細いと考えられるでしょう。同様に、人種によっても髪の細さに違いが見られることは先述した通りですので、欧米との混血の場合も生まれつき髪が細い可能性があります。
髪の毛が後天的に細くなった場合
髪の毛が後天的に細くなるのには様々な理由があります。主な原因3つをそれぞれみていきましょう。
①加齢:日本人男性は20代をピークに髪が細く変化していきます。加齢による新陳代謝の衰えやホルモンバランスの変化で頭皮の血行が悪くなり、髪の元になる細胞に十分な栄養が送られなくなることが大きな理由となります。体全体の代謝の衰えは40代以降顕著になりますが、生活環境やスタイルの違いなどで髪が細くなるスピードは個人差が大きいと考えられます。
②頭皮環境の悪化:頭皮の乾燥によるかゆみや炎症などのトラブルは頭皮環境を悪化させ、髪が健康に育ちにくくなる可能性があります。頭皮トラブルには紫外線を強く浴び続けたり、シャンプーの回数が多いことやセルフカラーやセルフ縮毛矯正の頻度が高く、薬液が頭皮につく機会が多いなど様々な理由があります。
③生活習慣:睡眠不足によるホルモンバランスの乱れは、髪の成長を促す「成長ホルモン」の分泌を低下させることがわかっています。また、偏食や不規則な食生活といった食生活の乱れは血液の栄養不足を招く恐れがあり、髪が細くなる原因となります。髪の質と薄毛の関係
髪の毛には細さと太さの違いだけではなく、質の違いにも個人差が大きく現れます。髪の質は遺伝子情報に組み込まれていることが多いため、例えばストレートヘアの人が歳を取ってちぢれ毛になるといった後天的な変化はほとんどないといわれています。ここでは日本人男性によくみられる髪質3つについての特徴をまとめました。それぞれの特徴から、髪質の違いと薄毛に関係があるのかみていきましょう。
日本の成人男性に多い髪質とは
①軟毛:髪の毛自体が細く柔らかい質感で、髪の毛1本1本が細く束にしてもボリュームが出にくくサラッと風になびく見た目は爽やかな印象を与えるという特徴があります。また髪の生え始めや生え際のうぶ毛も軟毛と呼びますが、この場合は成長と共に太く固くなる可能性があることや、限局した部分のみの発生ですので髪質とはいえないでしょう。
②猫っ毛:その名の通り猫の毛のように細く柔らかい質感で、コシがなくボリュームが感じにくいという特徴があり軟毛とよく似ています。全体的に髪の立ち上がりが少ないため潰れたようなスタイルになりやすく、湿度が高いと特にボリュームがなく見えるでしょう。
③くせ毛:S字にうねる「波状毛」や細かくうねってちぢれている「縮毛」、直毛に見えるがよくみると細かくねじれている「捻転毛」など、くせ毛には様々な種類があります。全くくせのない直毛の人の方が珍しいというほどくせ毛はよく見られますが、癖毛の種類は遺伝することがあり、黒人のチリチリした縮毛など人種によって特徴が見られることもわかっています。薄毛の原因に髪質は関係がある?
髪質の違いは遺伝によるものということがお分かりいただけたでしょうが、果たして薄毛と関係しているかというと答えは「髪膣と薄毛に関係はない」ということになります。先天的に細く柔らかかったりくせのある髪質というだけで、成長しにくいということや抜けやすいといった特徴はありません。元々細い髪質の場合は太い髪質と比べると、同じ本数であってもボリュームが少なく見えるため薄毛と感じることが多いといえますが、髪質が原因で薄毛が引き起こされることはないのです。
ただし、細く柔らかい髪質の人が何らかの原因で後天的に髪が細くなった場合は注意が必要です。もともとボリュームが少なく見えやすいため、薄毛の症状が進むと外見的に大きな変化をもたらす可能性があるため、原因を見つけ早めに対策しましょう。髪が細くなるのはAGAのサイン?
髪の毛が細くなるのには「加齢」「頭皮環境の悪化」「生活習慣」といった理由があることは先述しましたが、髪が細くなることで引き起こされる薄毛や抜け毛の症状にはAGA(男性型脱毛症)の可能性があるかもしれません。ここではAGAの可能性を疑う注意すべきポイントについて解説しますので、髪が細くなる変化とAGAの可能性についてみていきましょう。
髪の太さの変化はヘアサイクルに関係あり
・ヘアサイクルとは:人間の髪の毛は髪の元となる細胞が分裂を繰り返し、一定期間成長を続けたあと成長が休止します。そしてまた成長を開始し、成長の終わった髪を押し出すようにして新たな髪が生えてくるというサイクルを繰り返していますが、これをヘアサイクル(毛周期)と呼んでいます。ヘアサイクルは成人男性で3〜5年で「成長期」「退行期」「休止期」に分類されています。この中で「成長期」が最も長く、ヘアサイクル全体の85〜90%を占めています。そして「休止期」は20〜30%の割合といわれており、このヘアサイクルが乱れてしまうと髪が細く変化しやすくなります。
・ヘアサイクルの乱れによる髪の変化はAGAの可能性あり:ヘアサイクルが乱れて成長期が短縮されたり休止期が延長されると、髪が十分成長できずに細いまま短い状態で抜けるという現象が起こります。そのため枕についた抜け毛やシャンプーやドライヤー中に落ちた毛が細く短い場合はヘアサイクルの乱れの可能性が高いでしょう。ヘアサイクルに乱れを引き起こす原因は「睡眠や食生活など生活習慣の乱れ」「ストレスによるホルモンバランスの乱れ」「AGA」などが挙げられますが、AGAは成人男性の3人に1人が発症する身近な脱毛症であることから、成人男性におけるヘアサイクルの乱れの原因はAGAによる可能性が高いと考えられます。
AGAとは
髪が細く変化する原因がAGAである場合、なるべく早く対策する必要があります。なぜならAGAは進行性の脱毛症で、進行スピードには個人差があるため対策が遅れると一気に薄毛や抜け毛の症状が進む可能性があるからです。AGAの早期対策のために、メカニズムや症状と治療法について正しく理解しておきましょう。
AGAの原因とメカニズム
AGAの原因として、ヘアサイクルの成長期が短くなることが挙げられますが、これには男性ホルモンが関与していることがわかっています。
メカニズムから見るとわかりやすいのですが、まず男性ホルモンの一種である「テストステロン」と「5αリダクターゼ(5α還元酵素)」が結びつき、「ジヒドロテストステロン(DHT)」という別の男性ホルモンに変換されます。そしてジヒドロテストステロンが「ホルモン受容体(男性ホルモンレセプター)」に取り込まれると「FGF-5」という脱毛因子が発生します。FGF-5にはヘアサイクルにおいて成長期から退行期へ切り替わるスイッチの働きがあるため、FGF-5が発生すると成長期の途中であっても退行期へ移行し成長期が短くなります。成長期が短くなると、髪は成長途中の細く短い状態で抜けてしまうため薄毛や抜け毛といった症状が現れるのです。AGAの症状と進行パターン
AGAでは成長期の途中で髪の毛が抜けてしまうため、主な症状として「細く短い抜け毛の増加」が挙げられます。さらにもうひとつの特徴的な症状として、「特定の部分の薄毛」が見られますが、これはホルモン受容体が多く分布している前額部や頭頂部に症状が出やすいためで、以下の3つの進行パターンに分けられます。
①M字型:日本人に多い進行パターンで、前額部の左右に剃り込みが深く入ったように薄毛の症状が出るため正面から見たときにアルファベットの「M」のように見える特徴があります。
②O字型:欧米人に多い進行パターンで、頭頂部を中心に円形の薄毛症状が出るため、上から「O」のように見えます。円形の境界がはっきりせず、グラデーションのように頭頂部から下方に向かって毛が濃くなっていく見た目が特徴です。
③U字型:M字型とO字型を併発しているAGAの症状が最も進んだ重篤な段階です。上からは側頭部と後頭部に毛が残っていて「U」のように見えます。抜け毛の範囲が広く、ここからさらに症状が進むと全ての毛が抜け落ちる最終段階を迎えます。AGAの治療方法
AGAの治療方法は大まかに「投薬治療」「注入治療」「植毛」の3つに分けられます。このうち日本皮膚科学会が診療ガイドライン*の中で「行うよう強く勧める(少なくとも1つの有効性を示すレベルⅠもしくは良質のレベルⅡのエビデンスがあること)」治療は「投薬治療」の中の『フィナステリド内服』『デュタステリド内服』『ミノキシジル外用』のみとなっています。
このうちフィナステリドとデュタステリドは、5αリダクターゼを阻害しジヒドロテストステロンの生成を抑える治療薬で、ミノキシジルは頭皮の血行促進と髪の元となる「毛母細胞の活性化」効果のある治療薬です。どちらも厚生労働省で認可されている薬のため、安心安全に使用できることがわかっています。対して注入治療や植毛はAGAの原因に対する根本的な治療ではないため、投薬治療のサポートや重度の症状に限局して行われることが多く、訪院での院内治療になるため施術が受けられる施設において相談が必要です。
*男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版参考(https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf)髪を太くするためにできること
髪が細くなるのにはヘアサイクルの乱れが大きく関係しているため、予防や改善には「ヘアサイクルの正常化」という対策が必要です。ここでは自分でできるヘアサイクルの正常化におすすめな方法を紹介しますので、できることからぜひ始めてください。
髪を太くするおすすめセルフケア
①生活習慣の見直し:睡眠や運動不足は頭皮の血行不良を引き起こす恐れがあり、休止期から成長期への移行がスムーズに移行しない可能性があります。睡眠においては、入眠後最初に訪れる深い「ノンレム睡眠」中に髪の成長に大切な成長ホルモンの分泌が行われるといわれているため、室内を暗くしたりアルコールや食事摂取と入浴は入眠3時間前に済ませるなどの工夫をして入眠後すぐに深い眠りに入れるようにしましょう。また、運動不足の解消には毎日の継続が大切です。エレベーターを階段に変えたり、歩く時間を増やすなど無理のない範囲から始め、体を動かすことが楽しくなってきたら自分の好きなスポーツを始めることもおすすめです。
②食生活の見直し:成長期における髪の成長には口から摂取する栄養分が不可欠です。髪の主成分は「タンパク質」ですので、肉や魚などの動物性タンパクと大豆など植物性タンパクの両方をバランスよく取り、タンパク質代謝をサポートする緑黄色野菜などのビタミンB群C群や亜鉛などのミネラルも積極的に摂ることをおすすめします。そして食事の方法についても見直し、規則的に決まった時間に食事することや、食事時間は各回20分以上かけ一度に多量に食べないことに気をつけてみましょう。
③頭皮環境を整える:頭皮にかぶれや炎症などがあると、修復のためにヘアサイクルが乱れる場合があります。頭皮トラブルは髪が抜けやすくなったり栄養が髪の元に届きにくくなる可能性もあるため、常に健康な頭皮の状態を保つように対策しましょう。男性は加齢と共に頭皮の皮脂分泌が増える傾向があり、頭皮の脂っぽさはお悩みとしてよく聞かれますが、気になるからと洗いすぎたり洗浄力の高いシャンプーを使用していると、皮脂をとり過ぎてしまいかえって皮脂分泌を促進させる恐れがあります。まずはシャンプー方法を1日1回夜に決め、シャンプーの種類も洗浄力や爽快感よりも頭皮に優しい成分を重視して選んでみてはいかがでしょう。まとめ|髪が細くなったらAGA専門クリニックへ相談を
髪が生まれつき細い場合は、そのことが薄毛やハゲの原因になることはありません。しかし、加齢や何かしらの原因で髪が細く変化した場合は薄毛やハゲになる可能性がありますので注意が必要です。しかし、自分の髪がそもそも実際に細いのか、細く変化してきたのかは自己判断が難しいと感じるかもしれません。そんな時はAGA専門クリニックへ相談してみてはいかがでしょう。専門家の問診や診察では自分ではわからなかった髪の変化や変化した理由などがわかるかもしれません。また、髪が細くなった原因がAGAの場合はなるべく早めの対策が必要です。髪について気にることがあれば、些細なことでも門家に相談することをおすすめします。
監修した医師の紹介
■この記事の著者■ AGA薄毛予防治療クリニック 医師
柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)
名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。
これまでの薄毛解消の実績含めてプロペシア・ザガーロ・フィナステリド・デュタステリドなどのAGA治療薬の適切な処方に定評がある。
next.【医師監修】白髪と薄毛の関係性とは?
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