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脱毛因子を抑制させるためには何をしたらいい? 脱毛因子の解説と予防法
AGA(男性型脱毛症)は男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロンの働きによって引き起こされるということは既にご存じの方が多いかと思いますが、実はあまり認知度がありませんがAGAの抜け毛に関係しているとされている脱毛因子が存在します。脱毛因子はFGFの一種ですが、FGFすべてがAGAの症状を引き起こすというわけでもありません。AGAとFGFの一種である脱毛因子の関係を知るためには、まずはFGFについて知っておく必要があります。
■この記事の著者■ AGA薄毛予防治療クリニック 医師
柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)
名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。
これまでの薄毛解消の実績含めてプロペシア・ザガーロ・フィナステリド・デュタステリドなどのAGA治療薬の適切な処方に定評がある。
FGF(線維芽細胞増殖因子)について
FGFとは英語のFibroblast Growth Factorの略名で、日本語では線維芽細胞増殖因子と呼びます。細胞の増殖を促すタンパク質の事で、FGF自体は私たちの体の中にあります。しかしその働きからアンチエイジングの効果があるとして、体内に注入して肌のターンオーバーを促す美容整形の一種として用いられることもあります。そのため女性の方でご存じの方もいらっしゃるかもしれません。FGFは体にとってプラスの働きをしているという印象が強いため、どの辺がAGAに絡むのか、なぜ男性に悪影響を及ぼすのか疑問に感じますよね。それではAGAに関係のあるFGFについて解説をしていきます。
脱毛を引き起こすのは「FGF-5」
FGFは分類すると23種類あり、FG1からFG10は線維芽細胞増殖受容体とセットになることでその性質が発揮されます。先ほども触れましたがアンチエイジング効果があるため美容分野でよく利用され、ターンオーバーを促すことにより傷などの治療にも役立ちます。しかしこの性質がAGAの特徴である「抜け毛」を誘発します。そのためFGF-5は脱毛因子と呼ばれています。
FGF-5の引き金になるのは「TGF-β」
FGF-5の分泌が促されるのはTGF-βという、もうひとつの脱毛因子が関わっています。AGAは男性ホルモンの一種であるテストステロンと5αリダクターゼが結びつき、AGAの原因物質となるジヒドロテストステロン(DHT)を生み出します。このジヒドロテストステロンは男性ホルモン受容体と結びつき、TGF-βを分泌します。このTGF-βが分泌されると次にFGF-5が分泌され、分泌されたFGF-5が最終的に脱毛を促してしまうという過程を辿ります。TGF-βもFGF-5同様に脱毛因子ですが、具体的には母細胞の働きを抑制し脱毛を促します。そのためTGF-βとTGF-5は違う物質でありながらも相互に関係しあい、最終的にAGAの症状である脱毛を誘発させる脱毛因子と呼ばれているのです。
AGA治療を手助けしてくれるTGFもある!
上記のトピックスではAGAを促進させてしまう働きのあるTGFをご紹介しましたが、怪我や美容などで役立つTGFの他にもAGA治療で強い味方になってくれるTGFもあります。TGFの23種類全ての物質においてハッキリとした性質が分かってはいませんが、現段階で分かっているものについて簡単にご紹介していきます。
栄養を届ける手助けをする「FGF-1」
FGF-1は体の中の様々な働きに関与しており、細胞の分化や増殖、細胞や組織の成長など生きていく上で人間の体に欠かせない役割を担っています。そんなTGF-1ですがAGAの治療に役立つのは「血管新生作用」という働きをする成長因子です。頭皮に栄養と血液を滞りなく届けるために重要な血管を形成します。この血管があるおかげで毛乳頭から毛母細胞へ栄養をしっかりと届けることができ、豊かな髪の毛を維持するために大切なヘアサイクルの働きを手助けします。
医薬品登録もされている強力な助っ人「FGF-2」
FGF-1よりも多能性があるTGF-2ですが、他の成長因子と違いこちらはFGFの中で唯一医薬品として登録されています。FGF-1と同様血管新生作用を持ちますが、それではFGF-1との違いは一体なんでしょうか。答えは「強力さ」です。FGF-1よりもFGF-2は強力な血管新生促進作用を持っており、FGF-1とFGF-2を用いたマウス実験などでその効力が証明されています。AGAに悩む方にとっては積極的に使用していきたいものですが、こちらは医師の処方が必要となるため専門クリニックや医院の受診が必要となります。
髪の毛の成長を手助けする「FGF-7」
FGF-7は毛母細胞を増殖させる働きがあり、髪の毛を増やす作用があります。そのためFGF-7の分泌を促すことで薄毛の改善をすることができ、AGA治療の中でも必要な成長因子です。FGF-7はKGF(ケラチン細胞増殖因子)とも呼ばれています。髪の毛の1本1本はタンパク質で形成されており、その9割がケラチンで構成されています。ケラチンは18種類のアミノ酸から生成されているタンパク質で、髪の毛を健やかに保つために重要な物質です。FGF-7がケラチン細胞増殖因子と呼ばれているのは、この髪の毛にとって大切なケラチンを生成するためです。このことからも髪の毛にとってとても大切な物資であると言えますね。
その他の成長因子
FGFに含まれる成長因子について解説をしてきましたが、髪の毛の成長を手助けしてくれる成長因子はFGF以外にも存在します。また実際にAGA治療の現場で使われているものもあるため知っているという方もいらっしゃるかもしれません。FGF以外の成長因子について有名なものについて解説をしていきます。
IGF-1(インスリン様成長因子-1)
IGF-1はInsulin-like Growth Factor-1の略で、日本語ではインスリン様成長因子-1と呼ばれています。IGFはその名前からも分かるようにインスリンによく似たホルモンのことで、「ポリペプチド」や「ソマトメジンC」などと呼ばれることもあります。IGFは成長ホルモンに誘発され、怪我の回復や体の成長に役立ちます。アンチエイジング効果も期待できるため美容医療でも欠かせない存在です。ただし成長ホルモンは加齢に伴い減少していくため、自然とIGFも加齢に伴って減少していく事が知られています。AGA治療ではヘアサイクルの成長期を長くキープし髪の毛の寿命を本来の長さに近づけ、ヘアサイクルの中での早すぎる抜け毛を防止するために用いられます。
HGF(肝細胞増殖因子)
HGFはHepatocyte growth factorの略で、日本語では肝細胞増殖因子と呼ばれています。HGFは炎症、組織修復、血管新生、免疫調節など多様な役割を持つ成長因子のひとつです。HGFには毛母細胞を増殖し発毛を促し、ヘアサイクルの中で休止期の毛包を成長期へ導く働きが認められています。そのためAGA治療においても重要な役割を果たします。
VEGF(血管内皮細胞増殖因子)
VEGFは Vascular Endothelial Growth Factorの略で、日本語では血管内皮細胞増殖因子と呼ばれています。他の成長因子と同様VEGFにも血管新生作用があるため毛母細胞を増殖し発毛を促す働きがあります。またヘアサイクルの中で成長期の髪の毛を期間を延ばす働きもあり、髪の毛が成長しきる前に抜け落ちてしまうことを防ぎ、回数が決まっている生涯のヘアサイクルの寿命を保ってくれます。
脱毛因子を防ぐ方法は?
脱毛因子と成長因子それぞれの働きを知っていただくことができたかと思いますが、それではさっそくAGA予防の観点でお話を進めていきます。AGAを防ぐためには脱毛因子を防ぐことが重要になりますが、脱毛因子はどのようにして防ぐことができるのでしょうか。日常生活の中でもできることがあれば気を付けていきたいものですよね。ここからは脱毛因子の予防について一緒に確認していきましょう。
ジヒドロテストステロン(DHT)の分泌を防ぐ
TGF-βの解説をする際にジヒドロテストステロンについて触れていますが、このジヒドロテストステロンを防ぐことができれば脱毛因子であるTGF-βの分泌を抑制することができ結果的にAGA予防に繋がります。ここでもう一度AGAのメカニズムを分かりやすく簡単におさらいすると、以下の通りになります。
①テストステロンと5αリダクターゼが結合する
②ジヒドロテストステロンが生成される
③ジヒドロテストステロンと男性ホルモン受容体が結合
④TGF-βが分泌されヘアサイクルの成長期を終了させる
ジヒドロテストステロンを防ぐということは②を防ぐということになります。そのため脱毛因子を防ぐためにはジヒドロテストステロンの生成を抑制すればいいのです。具体的な方法に関しては以下に記載していますので引き続きご覧ください。AGA治療薬を内服する
一番確実と言えるのがAGA専門クリニックや医院に通院し、投薬治療を行うことです。実際のところAGAは8割以上が遺伝によるものとされており、これは生まれつきの男性ホルモン受容体の感受性に左右されます。またホルモンを自力で思うようにコントロールしようとするのは難しい部分でありますし、無理に男性ホルモンを抑制しようとしてしまうとホルモンバランスを崩し鬱や男性機能障害などを引き起こす可能性があります。そのためAGAを予防・改善するためにはAGAのために開発された治療薬を使用していくのが一番確実と言えます。AGA治療薬には様々な働きのものがありますが、ジヒドロテストステロンの生成を抑制する薬もありAGAの根本的な改善が期待できます。一方で副作用が一定の割合で発生することも知られており、副作用は軽度なものからまれに重篤なものまで含まれます。個人の判断だけで治療を進めていくのは大変危険です。薬を用いた治療は必ず専門クリニックや医院で行うようにしましょう。
発毛因子を活性化させる
脱毛因子を防ぐためには、発毛因子を活性化させることも大切です。食材などからも摂取することが可能ですが、ほとんどは発毛剤などに含まれているため効率的なのは発毛剤などの外用薬を使用することです。機会があれば成分表を確認してみるのもおすすめです。発毛因子を活性化させる成分を直接頭皮に塗ることで髪の毛の成長を促すことができることがメリットですが、こちらも副作用を引き起こすことがあります。発毛因子の成分が原因かどうかまでは判断することは難しいですが、発毛剤に含まれるミノキシジルの濃度が高いほど副作用が出やすくなりますので注意が必要です。ミノキシジル濃度が高いものは医師の処方が必要となりますので、効果に物足りなさを感じるなどの場合は専門クリニックや医院を受診するようにしましょう。
生活習慣の改善を行う
薬だけではなく生活習慣の改善を行うことでジヒドロテストステロンの生成抑制を促すこともできます。生活習慣の改善はAGAの治療とは言えませんが、薬などを用いたAGAの治療と一緒に行うことでより予防・改善を見込めます。上げ始めるとキリがありませんので、今回は優先して見直していただきたい生活習慣を2種類にしぼってお話をします。
▶食生活の改善
ジヒドロテストステロンの生成を抑制するという観点から見ると、「亜鉛」と「イソフラボン」は是非積極的に摂取していただきたい栄養素です。亜鉛とイソフラボンにはジヒドロテストステロンの生成に関係する5αリダクターゼの生成を阻害する働きがあるといわれています。亜鉛であればレバーや生牡蠣など、イソフラボンであれば大豆食品に多く含まれます。またできる限り控えていただきたいものが「アルコール」です。アルコールが分解される際に亜鉛も一緒に消費されてしまうため、アルコールを頻繁に摂取するという方は付き合いの時だけやたしなむ程度にするなど日々の生活の中で工夫するようにしましょう。
▶ストレスをためない
ストレスは数値化することが難しく耐性も個人差がありますが、ストレスが長時間加わることにより活性酸素が増え、この活性酸素の分解に亜鉛が消費されてしまいます。せっかく亜鉛を摂取してもストレスを感じていると効果を感じにくいため、休日などにはストレス発散ができるように工夫してみましょう。運動が苦手でなければ運動によってジヒドロテストステロンの生成を抑制できることも分かっていますので、ストレス発散がてら体を動かしてみるのもおすすめです。AGAは早期治療が重要!
AGAは今や日本人成人男性の3人に1人が何らかの症状を発症しているとされている身近な病気です。また今までは中年男性に発症すると言われてきましたが、10代~20代など若い年齢の男性にも発症することが分かっています。AGAは進行性の病気のため「まだ若いから大丈夫」「そのうち治るだろう」と放置してしまうと、どんどん症状が悪化していってしまいます。発症がほとんど遺伝によるものですので、どんなに健康的な生活に気遣っていても避けられない部分もあります。そのため薄毛や抜け毛に気付いたら、早めに専門クリニックや医院を受診するようにしましょう。AGAの治療成功は早期発見・早期治療が大切です。
どのタイミングで受診すればいい?
早期発見・早期治療と言ってもどのタイミングで受診をすればいいのか、AGAは個人差が大きく人と比べることが難しいため受診のタイミングも悩まれてしまいますよね。正確な指標などはありませんので「なんだか薄くなった気がする」程度の変化でも、AGAは進行しているサインとなりますので「いつもと違う」と感じたらすぐに受診することをおすすめします。また頭皮トラブルが頻繁に起きるという方も受診をおすすめします。頭皮から発生するフケや発疹は、頭皮に何らかの異常が起きている場合が多く、その原因を辿っていくとAGAにつながることもあります。どんなに些細なことでもまずは専門クリニックや医院を受診し相談してみるようにしましょう。
AGA治療薬の偽物に注意
AGAを疑う自覚症状があるけれど、AGA専門クリニックや医院を受診する時間がない、または他人の目が気になって受診しずらいという方もいらっしゃるかと思います。今はAGAについてインターネットで気軽に調べることができ、どんな治療薬を使用すればいいか大方分かります。そのためインターネットで知識を得た上でAGA治療薬を通信販売サイトを介して個人輸入しようとされる方がいらっしゃいますが、中には偽物の薬が流通していることもありますのでリスクも伴います。当院ではオンライン診療や郵送での処方箋受け取りが可能となっておりますので、通院来院でお悩みの方は是非一度ご相談ください。
監修した医師の紹介
■この記事の著者■ AGA薄毛予防治療クリニック 医師
柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)
名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。
これまでの薄毛解消の実績含めてプロペシア・ザガーロ・フィナステリド・デュタステリドなどのAGA治療薬の適切な処方に定評がある。
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