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  • 【医師監修】筋トレと薄毛の関係性、マッチョは薄毛になりやすい?

    筋トレと薄毛の関係性|マッチョは薄毛になりやすい?

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    マッチョは薄毛になりやすい」という噂を耳にしたことはありませんか?他にも「筋トレするとハゲるらしい」「体を鍛えるとAGAになる」などの噂は昔から絶えません。そのため髪に悩みがあったり、薄毛になることを心配されている人は「筋トレや運動は控えた方がいい」と思っているかもしれません。果たして筋トレや体を鍛える運動と薄毛には関連性があるのでしょうか?今回は噂の真偽とともに、AGA治療中の方が筋トレを行う場合の髪への影響についても解説します。「薄毛は気になるけれど筋トレはしたい」という方はぜひ参考にしてください。

    ■著者■ AGA薄毛予防治療クリニック医師

    柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)

    名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。

    これまでの薄毛解消の実績含めてプロペシア・ザガーロ・フィナステリド・デュタステリドなどのAGA治療薬の適切な処方に定評がある。

    筋トレすると薄毛になるって本当?噂の真相

    プロのボディビルダーのような筋肉とまではいかなくても、引き締まった腹筋やたくましい背筋に近づきたいという男性は多いでしょう。近年では健康増進のため、厚生労働省でも筋トレなどを取り入れた運動プログラムを示しています。肉体美にも健康にもいい影響を与える筋トレですが、「筋トレすると薄毛になりやすい」という噂はなぜ広まったのでしょうか?ボディビルの大会やスポーツの試合などでも、筋肉を鍛えている選手に薄毛が目立つということはあまり感じられないでしょう。それでなぜ噂が広まったのか、理由についてみていきましょう。

    「筋トレすると薄毛になる」噂に医学的根拠はない

    結論から言うと、「筋肉を鍛える運動によって抜け毛が増えたり薄毛になる」という噂に医学的根拠はありません。ですので薄毛を気にして筋トレを控える必要はありません。なぜ噂が広がったのか、理由については以下が考えられます。

    噂の理由①:筋トレすると、薄毛の原因になる男性ホルモンが増える

    筋トレや体を鍛える運動を行うことで増えるホルモンには「テストステロン」「成長ホルモン」「セロトニン」「ドーパミン」などが挙げられます。この中で薄毛に関連しているとされているのが「テストステロン」です。テストステロンは男性ホルモンの代表とも言えるホルモンで、主な働きは「胎内で精巣を発達させる」「骨や筋肉を発達させる」「声変わりや体毛発生を促す」「性欲や精神的にバイタリティを高める」など男性の生涯で重要な役割を果たしています。成人後、テストステロンは体内で5αリダクターゼという酵素と結びつくと「ジヒドロテストステロン」という男性ホルモンに変換されます。このジヒドロテストロンがAGA(男性型脱毛症)の原因となるため、元を辿っていく過程で「ジヒドロテストロン→テストステロンが筋トレで増加→筋トレで薄毛になる」と解釈されるようになったのではないでしょうか。

    噂の理由②:筋トレ時に併用するサプリの副作用

    筋トレを行うときに、効果を上げるために摂取されることが多いのがサプリメントです。筋トレと薄毛の噂の中には「サプリメントの副作用で薄毛になりやすい」というものもあるようです。筋トレの効果を上げるサプリとしては、各種のアミノ酸が知られています。筋肉はタンパク質でできており、タンパク質はアミノ酸で構成されていますので、タンパク質構成に必要なアミノ酸を摂取することで効率よく質の良い筋肉を育てることが目的です。アミノ酸摂取における副作用はほとんど報告がありませんが、過剰摂取における腎臓や肝臓への負担や、摂取カロリーオーバーによる肥満などは考えられますので、摂取量をきちんと守ることが大切です。

    噂の理由③:トレーニング後の汗の不始末による頭皮トラブル

    薄毛や抜け毛の原因のひとつに「頭皮トラブル」が挙げられます。何らかの理由で頭皮に皮脂が過剰に分泌され毛穴を塞いだり、頭皮が炎症を起こして髪が生えている状態を維持できなくなると、薄毛や抜け毛の症状が起こりやすくなるためです。筋トレによって汗をかくと、皮脂も一緒に多量に分泌されるため、トレーニング後に汗を拭き取ったりシャワーで流すなどの始末をしないでいると、頭皮トラブルを招く恐れがあります。筋トレが直接頭皮トラブルを起こすわけではないのですが、因果関係として捉える人が多いのかもしれませんね。

    プロテインは抜け毛を増やす?

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    筋トレの際、トレーニング効果向上のためプロテインを摂取している方は多いのではないでしょうか。そのため「筋トレすると薄毛になる」と聞いたとき、プロテインの摂取による副作用として、薄毛になる可能性を考える方もいるでしょう。プロテインは食品に分類されるため、薬のような副作用の心配はありませんが、プロテインの成分や摂取による効果および副作用について、薄毛と関係があるのか見ていきましょう。

    プロテインの成分と髪の毛の関係

    プロテインはタンパク質の一種だと思われがちですが、プロテインとタンパク質は全く同じものを指します。日本で一般的にプロテインと呼ばれている食品は、タンパク質を主成分にビタミンやミネラルなどを配合したサプリメントである場合が多く、スポーツ選手をはじめ効率よくエネルギーを摂取し体を鍛えたい人に好まれています。タンパク質は体の中では筋肉をはじめ、髪の毛や皮膚、内臓などとして存在しており、特に髪の毛は80%が「ケラチン」というタンパク質でできています。さらにはケラチンは「シスチン」というアミノ酸をメインに18種類のアミノ酸が結合して作られています。そのため、シスチンを多く含むプロテイン製品を摂取することは髪の成長を助ける効果が期待できます。

    プロテインに副作用はある?

    プロテインはタンパク質であるため、摂取自体に副作用はありません。もちろん薄毛や抜け毛引き起こす副作用はありませんし、むしろ髪の成長のためには積極的に摂りたい成分です。とはいえタンパク質を多量に摂取した場合は、カロリーや脂肪分の摂りすぎによる肥満に注意が必要です。プロテイン製品の中には脂肪分やカロリーカットされていたり、食事と置き換えて摂取するタイプもありますので、配合成分とカロリーをチェックし、自分に適したものを選ぶと良いでしょう。

    プロテイン製品に含まれるクレアチンに注意が必要な場合も

    クレアチンとは、肉や卵など特定の食品に含まれている物質で体内でクレアチンリン酸に変換されます。主な働きは「瞬間的な激しい運動時のエネルギー産生」です。具体的には、重いバーベルをあげたり短時間の全力ダッシュなどの筋トレ時に重宝されます。クレアチンは単体のサプリメント製品やプロテイン製品に配合されているため、気軽に摂取している方も多いでしょう。しかし、クレアチンにはAGAの原因となる「ジヒドロテストロン(DHT)」を増加させる働きがあるため、薄毛や抜け毛を心配している場合は注意が必要かもしれません。なぜクレアチンがDHTを増やすのかはまだ解明されておらず研究段階なので、一概にクレアチンを摂取すると薄毛になるというわけではありませんが、DHTが薄毛を引き起こすメカニズムには遺伝が大きく関係しているため、両親の家系それぞれにAGAが多い場合は念のためクレアチンの摂取を控えておく方が良いかもしれません。

    知っておきたいAGAのメカニズム

    先ほど男性ホルモンとAGAについて軽く触れましたが、そもそもAGAとは何なのか、なぜ薄毛や抜け毛が起こるのかについて解説します。既に薄毛や抜け毛が気になっている方も、薄毛や抜け毛予防しながら筋トレしたい方も、AGAについて正しく理解し今後の参考にしてくださいね。

    AGAのメカニズム:①ヘアサイクルの乱れ

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    男性の髪の毛は3〜5年で生え変わっていると言われており、これは「ヘアサイクル(毛周期)と呼ばれています。ヘアサイクルは「成長期」「退行期」「休止期」で構成されていて、以下のような過程を繰り返しています。

    成長期:髪の毛の元となる「毛母細胞」が活発に細胞分裂し髪が伸びている状態。ヘアサイクルの8割が成長期のため大体2〜4年間続く。
    退行期:成長期の後、「毛乳頭細胞」の毛母細胞への栄養供給機能が低下し髪の成長が遅くなる時期。2.3週間続く。
    休止期:毛母細胞の細胞分裂が完全に停止し、自然に抜けるのを待っている期間。2〜3ヶ月続く。

    AGAでは、前額部や頭頂部に多く存在する「ホルモン受容体」と、ジヒドロテストロンが結びつきます。すると「脱毛因子」が産生され、成長期の短縮や休止期の延長を引き起こします。成長期が短縮すると、成長過程の細く短い髪の毛のまま退行期や休止期へ移行し抜けていくため、「髪が細くなった」「生え際や頭頂部が薄くなってきた」といった症状が見られやすくなります。

     

    AGAのメカニズム:②遺伝的要素が強い

    AGAは「Androgen(男性ホルモン) genetic(遺伝) Alopecia(脱毛症)という意味の通り、男性ホルモンと遺伝的要素が関係している脱毛症です。遺伝的要素として重要なものが2つありますので、詳しく見ていきましょう。

    遺伝的要素①:5αリダクターゼ活性度
    5αリダクターゼという酵素の活性度が高い人は、ジヒドロテストロン量が増えることになりますのでAGA発症の可能性も高くなります。5αリダクターゼ活性度は遺伝子情報で決まっており、両親いずれかが活性度の高い遺伝子を持っている場合は引き継ぎやすいと言われています。

    遺伝的要素②:ホルモン受容体の感受性
    男性ホルモン受容体(レセプター)の感受性が高いと、ジヒドロテストロンと結合しやすくなるため脱毛因子の産生量が増える可能性があります。男性ホルモン受容体の感受性はX染色体の遺伝と考えられているため、母親方の遺伝要素が強く反映されます。そのため両親にAGAの既往がなくても、母親方の家系にAGAの既往が見られる場合は隔世遺伝する可能性があります。

    AGAの治療中に筋トレはできる?

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    AGAは今や成人男性の30%が発症すると言われているとても身近な脱毛症です。そのため、AGAの治療に興味はあり検討しているけれど筋トレと薄毛の噂が気になって、治療と筋トレのどちらかを避けようと考えている方もいるかもしれません。結論から言うと、AGA治療中の筋トレは「おすすめできる治療と控えた方が良い治療」があります。その理由を、AGA治療方法と治療中の筋トレが及ぼす髪の毛への影響という2つの観点からくわしく解説します。

    AGA治療方法とは?

    AGAの治療方法には大きく分けて「内服薬」「外用薬」「注入療法」「植毛手術」があります。このうち「内服薬」と「外用薬」は処方を受ければ自宅で治療ができる比較的簡単な治療で、AGA治療の第一選択としているクリニックや病院も多くあります。これに対し「注入治療」や「植毛手術」は通院とクリニックや病院で施術を受ける必要があります。どれもメリットデメリットがありますが、症状の程度や希望する髪の状態により、治療期間や予算を考慮しながら最適な治療を選ぶことになります。

    筋トレをおすすめできるAGA治療とは

    「注入治療」と「植毛手術」は注射などで頭皮に直接薬剤を注入したり、健康な髪の毛を薄毛部分に移植するため少なからず出血や頭皮への侵襲が起こります。そのため施術当日や数日間は筋トレにより再出血や腫れなどが起こる可能性があります。また、筋トレ後汗の処理が不十分だと、頭皮に雑菌が増え細菌感染することも考えられるため、注入治療や植毛手術の際は筋トレはおすすめできません。対して厚生労働省が認可している「内服薬」「外用薬」の投薬治療においては、筋トレによる頭皮への影響はほとんどないため安心して行えるでしょう。

    ミノキシジル内服薬治療中の筋トレは注意

    日本の厚生労働省が認可しているAGA治療内服薬は「プロペシア」「ザガーロ」「フィナステリド錠」「デュタステリド錠」と各メーカーによるジェネリック医薬品があります。これらは5αリダクターゼ阻害薬ですので筋トレによる薬効への影響はほとんどなく、注意する必要はありません。ただし、国内未認可の「ミノキシジル内服薬」の場合は激しい筋トレや運動により体に影響が出る場合があります。ミノキシジル内服薬はもともと血管を拡張し血圧を下げる「降圧剤」由来のため、服用により血圧が低下する可能性があります。また、激しい運動時には急な血管拡張による血流増加から、血圧が低下しめまいや動悸が起こるおそれがあります。したがって、ミノキシジル内服薬服用後に激しい筋トレや運動を行うと、低血圧症状が強く出るおそれがありますので、ミノキシジル内服薬を服用する場合は、必ず専門の医師に筋トレを行なってもよいか相談しましょう。

    筋トレがもたらす髪への効果

    適度な運動は健康の維持や増進にも効果があると、厚生労働省も運動プログラムに筋トレを推奨しています。*筋トレが体の健康増進に効果があるのならば、髪の成長にも効果が期待できる可能性があります。筋トレで期待できる健康効果から、髪への影響までを詳しく見ていきましょう。   *厚生労働省HP参照 https://www.mhlw.go.jp/content/000656456.pdf

    血行促進

    筋トレなど運動を行うと、体中に十分な酸素を運ぶために心肺機能が上がり血行が良くなります。血液には酸素のほかに栄養分が豊富に含まれており、全身に滞りなく行き渡ることで全身の細胞が活性化します。頭皮では筋トレにより血行が促進されると、頭皮の中にある「毛母細胞」という毛の元になる細胞が活性化し細胞分裂が盛んになります。毛母細胞が増えると髪が太く長く伸び、コシやハリが生まれ髪の毛が豊かになる効果が期待できます。

    成長ホルモンの分泌増加

    筋トレによるエネルギー消化の際に、乳酸という副産物が生成されます。この乳酸が脳を刺激し「成長ホルモン」の分泌を促しますが、分泌量は通常時の200倍で、睡眠中とほぼ同量の高い数値になると言われています。成長ホルモンは骨や筋肉と共に髪の成長にも作用するため、分泌量が増えると髪の成長も促進されます。

    自律神経を整えストレスが減る

    筋トレ中は力を入れることで、交感神経が活発に働き興奮状態になりますが、トレーニングが終了すると交感神経は落ち着き、代わりに副交感神経が優位になるリラックスモードに切り替わります。この切り替えが適度に行われると、自律神経のリズムが安定しバランスが整います。自律神経が整うとイライラしにくくなったり、ストレス耐性ができるなど精神の安定化が期待できます。ストレスが軽減すると、睡眠の質が上がり成長ホルモンが出やすくなることや血流改善が期待できるため、前述の通り髪への良い効果がもたらされるでしょう。

    【まとめ】筋トレとAGA治療の組み合わせで薄毛や抜け毛対策しましょう

    マッチョは薄毛になりやすい」「筋トレすると薄毛になる」という噂に根拠はありません。むしろ適度な筋トレは髪の成長にとって良い効果をもたらすことが期待できます。健康維持や促進のためにも日常的に取り入れていきたいですね。その上で、薄毛や抜け毛が気になってきたら早めに専門医に相談することをおすすめします。薄毛や抜け毛の原因がAGAの場合は、早期の治療で進行を遅らせたり症状を改善することも可能です。当院ではオンライン診療にて、ご希望の時間に気軽にご相談いただけます。気になる症状があればお問い合わせください。

    ■この記事の著者■ AGA薄毛予防治療クリニック 医師

    柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)

    名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。

    これまでの薄毛解消の実績含めてプロペシア・ザガーロ・フィナステリド・デュタステリドなどのAGA治療薬の適切な処方に定評がある。

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