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  • 【医師監修】気を付けて!海外から個人輸入のAGA治療薬は危険

    【海外製】AGA治療薬の危険な理由とは?

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    「AGAはお医者さんで治療ができる薄毛」、というキャッキコピーを見聞きしたことがある人は多いのだはないでしょうか。「AGA(男性型脱毛症)」という言葉や「AGAには治療薬がある」ということが一般的に広まってきたことから、「薄毛が気になってきたからAGA治療薬を試してみよう」とインターネットなどの個人輸入で購入できる海外製のAGA治療薬の使用を検討している男性がいるかもしれません。

    個人輸入などで購入できる海外製のAGA治療薬には、通院の手間がなく安価で手に入るというメリットがあるように思われます。しかし海外製のAGA治療薬には、安全性が不確かな偽物や健康被害の危険がある製品が紛れ込んでいる可能性があります。
    今回は、海外製AGA治療薬の種類や危険な理由について解説します。海外製のAGA治療薬の使用を検討している男性はぜひ参考にしてください。

    【監修した医師の紹介】

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    ■この記事の著者■ AGA薄毛予防治療クリニック 医師

    柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)

    名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。

    知っておきたいAGAの基礎知識

    海外製のAGA治療薬を検討している、ということは、髪のボリュームが減ったり日常生活の中で抜け毛が増えたと感じ「これはAGAの始まりかもしれない」という不安を抱えているからではないでしょうか。しかし、自己判断で海外製のAGA治療薬を使用するのはおすすめできません。AGAは薄毛や抜け毛が主な症状ですが、AGA治療薬の使用には医師の診断が必要です。AGAの原因や症状について解説しますので、当てはまることが多かったら早めにAGA専門クリニックを受診しましょう。

    AGAの原因

    ①男性ホルモン由来:男性機能の維持や筋肉量を増やしたり大きくさせる働きを持つ、「テストステロン」という男性ホルモンが「5αリダクターゼ(5α還元酵素)」と結びつくと「ジヒドロテストステロン(DHT)」という別の男性ホルモンに変換されます。ジヒドロテストステロンは「男性ホルモンレセプター(ホルモン受容体)」に取り込まれることで「脱毛因子(TGF-β)」という髪の成長を妨げるタンパク質の一種を増加させる働きがあり、これがAGAの原因として薄毛や抜け毛の症状を出現させることになります。

    ②遺伝由来:前述した5αリダクターゼは、活性度が高いほどジヒドロテストステロンを産生しやすくなりますが、5αリダクターゼの活性を持つ遺伝子は両親のどちらからも遺伝します。また、男性ホルモンレセプターの感受性においても高い方が脱毛因子を産生しやすくなり、男性ホルモンレセプターの感受性は母方から隔世遺伝すると考えられています。以上のことから、AGAの原因に遺伝が挙げられているのです。

    AGAのメカニズムと症状

    AGAの原因である脱毛因子が増えることにより、髪の元である毛母細胞や毛乳頭細胞の細胞分裂が抑制されます。すると、髪が成長するべき時期*に髪が太く長く充分に成長できないまま抜け落ち、次に生え変わる髪の成長が遅れてしまいます。そのため細くハリがない状態の髪が増え薄毛になったと感じたり、抜け毛が増えるといったAGAの症状が出現します。
    また、男性ホルモンレセプターは前額部や頭頂部に多く分布しているため、AGAの特徴である「M字型」「O字型」といった進行パターンの薄毛や抜け毛症状が現れやすくなります。
    *ヘアサイクル(毛周期)という髪の生え変わりサイクルにおける成長期と呼ばれる時期

    AGAの治療方法

    AGAの治療方法は大きく分けて以下の3つです。

    ①5αリダクターゼ阻害薬:テストステロンは男性にとって不可欠な男性ホルモンですので、ホルモン分泌自体を抑制することはできません。そこで、テストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を阻害することで、脱毛因子の産生を抑制してAGAの発症を防ぐのが「5αリダクターゼ阻害薬」です。1日1回内服し、内服を止めると効果がなくなりますので継続的な服用が必要な治療です。

    ②毛母細胞や毛乳頭細胞活性:髪を生やし育てる力をサポートして薄毛や抜け毛を改善する目的の治療で、「ミノキシジル」という血行促進作用のある外用薬を直接頭皮に塗布します。また外用薬以外に「HARG(毛髪再生医療)」という成長因子(グロスファクター)をダーマローラーや注射で直接頭皮に注入する方法や、ミノキシジルや成長因子などをカクテルして直接頭皮に注射する「メソセラピー」という方法もあります。外用薬の塗布は自分で行えますが、HARGとメソセラピーは医療機関での施術が必要になります。

    ③植毛:薄毛や脱毛部分に髪を移植する治療です。人工毛と自毛の2種類の植毛が可能で、脱毛して生えてこなくなった部分に毛を生やせるメリットがあります。自毛植毛の場合は正着すればAGAの影響を受けなくなりますが、植毛部分以外にAGA症状が現れる可能性がありますので、植毛治療は専門医師と十分相談した上で行うことが望ましいでしょう。

    AGA治療薬の種類

    AGAのタイプは「ホルモン由来で抜け毛が増えるタイプ」と「髪を生やし育てる力が衰えて髪が育たないタイプ」の2つに分けられます。そのため治療薬も2種類ありますので、それぞれの種類と効果についてみていきましょう。

    抜け毛を予防する治療薬

    日本で初めてAGA治療薬として販売された「プロペシア」を代表とする「5αリダクターゼ阻害薬」は、ジヒドロテストステロンが増えないように5αリダクターゼを阻害することで、脱毛因子による抜け毛を予防します。5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があり、プロペシアはⅡ型のみ阻害しますが「ザガーロ」はⅠ型Ⅱ型両方とも阻害するため、より高いAGA治療効果が期待されています。

    発毛や育毛のための治療薬

    脱毛因子の働きや加齢による代謝の低下に加え、不規則な生活によるヘアサイクルの乱れなどから頭皮の血行不良が起こると発毛や育毛が妨げられます。そこで頭皮の毛細血管拡張や血行促進効果のある「ミノキシジル」を頭皮に直接塗布する日本初のAGA外用薬として発売されたのが「リアップ」です。これまでの「育毛剤」ではなく「発毛剤」として使用が認められており、発毛や育毛効果が期待できます。

    海外製AGA治療薬とは

    AGA治療薬に幾つかの種類があることがお分かりいただけたでしょうが、日本で使われているAGA治療薬は病院やクリニックなどの医療機関で処方してもらうか、薬剤師に使用を認められた上でドラッグストアや通販などで購入する方法で入手できます。また個人輸入などで海外製のAGA治療薬を購入すれば診療不要で使用できるため、試してみようと検討している男性もいることでしょう。

    しかし海外製AGA治療薬のほとんどは、厚生労働省で承認されていない「未承認薬」です。ここでは海外製AGA治療薬の安全性についてみていきましょう。

    承認薬と未承認薬の違いとは

    ・承認薬:厚生労働省が有効性や安全性を承認した医薬品を指します。開発の経緯から品質管理方法に至るまで厳しく審査され、臨床試験においても厚生労働省の定めた基準を満たしていることが絶対条件となっています。承認薬の審査はは新しく開発する薬以外でも可能なため、海外製で既に日本以外で流通している医薬品が承認薬となる場合もあります。海外のAGA治療薬では「ファイザー社」の『フィナステリド錠0.2mg/1mg「ファイザー」』が2015年に承認されていて、2021年にファイザー社からヴィアトリス製薬に販売移管されて『フィナステリド錠0.2mg/1mg「VTRS」』に変更されましたが、海外製AGA治療薬として承認されている唯一の薬です。

    ・未承認薬:既に海外で一般的に使用されているAGA治療薬であっても、厚生労働省の承認がなければ治療薬として輸入販売することはできません。そのため個人輸入などで目にする海外製のAGA治療薬は全て「未承認薬」となります。海外製AGA治療薬の名称と製造国は以下を参考にしてください。

    【フィナステリド】(プロペシアのジェネリック)
    「フィンペシア」インド(シプラ社)、「フィナロ」インド(インダス社)、「フィナバルド」インド(イーストウエストファーマ社)など

    【デュタステリド】(ザガーロのジェネリック)
    「アボダート」イギリス(グラクソスミスクライン社)、「デュプロスト」インド(シプラ社)、「ベルトリド」インド(インダス社)、「デュタス」インド(ドクターレディース社)、「デュタボルブ」フィリピン(ロイド社)、「デュタプロス」トルコ(コカックファルマ社)など

    【ミノキシジル(内服薬)】
    「ロニタブ」インド(インスタファーマ社)「ノキシジル」タイ(TOケミカルズ社)、「ミノキシジルタブレット(ミノタブ)」フィリピン(Lloyd社)、「ロニテン」カナダ(ファイザー社)など

    【ミノキシジル(外用薬)】
    「ロゲイン」アメリカ(マクニール社)「ツゲイン」インド(シプラ社)、「カークランド/ミノキシジル」アメリカ(カークランド社)、「ミントップ」インド(ドクターレディース社)など

    海外製AGA治療薬が危険な理由

    海外製で日本国内未承認のAGA治療薬は、そもそも日本人のために作られた薬ではありません。そのため有効成分が同じであっても他の成分や薬の組成方法の安全性が不確かな可能性があります。そのため自己判断で海外製AGA治療薬を使用するのは多くの危険が伴いますので、危険な理由について詳しくみていきましょう。

    偽物の可能性

    日本には医薬品の有効性や安全性を確保するため、「医薬品医療機器等法」という法律で医薬品の製造から販売と市販後の安全対策まで一貫して規制が設けられています。そのため偽物のAGA治療薬が流通する可能性はほとんど考えられませんが、海外製の未承認医薬品には規制が設けられていないため偽物が流通する可能性があります。有効成分の含有量が少ないものや、そもそも有効成分が入っていないもの、パッケージはAGA治療薬のものでも中身が別物など、偽物が混入しているかもしれません。偽物はAGAに対する治療効果がないことに加え、何が入っているかわからないことから思いもよらない事態を招く可能性があり、大変危険だといえるでしょう。

    健康被害の可能性

    日本製のAGA承認薬は厚生労働省の基準で厳しい臨床試験が行われていますので、日本人の使用に適した薬であると言えます。しかし海外製AGA未承認薬では日本人に使用した場合の臨床試験データがないため、販売国の製造安全基準を満たしている薬でも日本人には成分含有量が多いなどの理由で副作用が強く出てしまう場合があります。さらに添付文書に日本語訳がないものも多く、成分量や添加物の有無のほか用法用量を正しく理解できず、誤った使用で副作用が出る可能性もあります。AGA治療薬には、フィナステリドの「肝機能障害」やミノキシジル内服薬の「血圧低下」など、全身状態に影響して重篤な健康被害が起きる副作用の可能性があります。ミノキシジル外用薬においても、含有成分量が多いものや日本では安全性が認められていない成分が配合されているものでは、頭皮へ刺激が強くかぶれや炎症を引き起こして薄毛や抜け毛をかえって悪化させる可能性があり、使用には危険が伴います。

    国の救済制度が受けられない

    日本には「PMDA(医薬品医療機器総合機構)」による、「医薬品副作用被害救済制度」という公的な制度があります。この制度により、医薬品を適正に使用したにもかかわらず、その副作用により入院治療が必要になるほど重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や年金などの給付使用時に発生した副作用に対し給付金を受け取れます。給付金請求には、「厚生労働大臣の許可を受けた医薬品」を適正に使用していたという条件がつけられているため、海外製のAGA治療薬はほとんど対象外になります。
    海外製のAGA治療薬に健康被害を生じる可能性があることは前述の通りです。重篤な健康被害が起こった場合に救済制度が受けられないことは、海外製のAGA治療薬使用に対する危険が増えるひとつの要素になるでしょう。

    個人輸入による海外製AGA治療薬購入の危険性

    海外製のAGA治療薬には、薬自体の危険性に加え入手方法にも危険が伴う場合があります。海外製のAGA治療薬を購入するには、取り扱いのあるクリニックなど医療機関で処方してもらう以外に、個人輸入で購入する方法があります。個人輸入では個人的な使用目的であれば医薬品の購入が認められていますが、海外製のAGA治療薬の個人輸入は危険が多いためあまりおすすめできません。個人輸入が危険な理由について見ていきましょう。

    商品が届かない可能性

    海外製AGA治療薬の個人輸入には、輸入代行業者を通じてやり取りするのが一般的です。インターネットや電話で取引が完結するため、とても簡単に希望の海外製AGA治療薬が手に入ると思われますが、中にはお金を払っても薬が届かないケースがあります。輸入に時間がかかることは確かですが、購入時に掲示された到着までの期間を大幅に超える場合は薬の品質管理状態が悪化し薬が劣化する危険があります。また、特に海外の輸入代行業者には、住所が私書箱になっているなど存在自体が怪しい場合もあり、商品が一切届かないという可能性もあります。

    返品や返金できない可能性

    個人輸入では、購入して届いた海外製AGA治療薬のパッケージに不良が見られた場合などの使用前にもかかわらず、返品や返金を受け付けてくれない輸入代行業者もいるようです。通信販売にはクーリングオフ制度が適用されないため、返品返金に応じない旨がサイト上に記載されている場合は商品に不備があっても返品返金ができません。個人輸入代行業者を利用する場合は、輸送中に破損したり、使用中に問題が生じても業者では対応してもらえないことも多く、個人の責任で購入することをしっかり理解しておきましょう。

    安心安全なAGA治療とは

    「海外製のAGA治療薬を個人の判断でちょっと試してみる」のはおすすめできません。なぜならAGAは進行性の脱毛症のため、一時的な治療では効果が出にくく中断すると症状が再燃してしまうのです。AGA治療は専門医による診察と個人の症状に合わせた処方が大切で、経過を長い目で見る必要がありますので、安心安全に継続していくための病院選びのポイントをまとめました。

    AGA治療を安心安全に受けるためのポイント3つ

    ①承認薬による治療:日本国内で承認されているAGA治療薬は、豊富な日本人の臨床試験データで効果効能が認められているため、適切に使用すればAGAの進行を遅らせたり、改善する効果が期待できます。治療実績においても欧米人と日本人では症状の進行パターンが異なり、海外製のAGA治療薬の実績は日本人に当てはまらない可能性があるため自分に合ったAGA治療薬を使用することが大切です。

    ②診察やカウンセリングが丁寧:AGAの症状は人それぞれで、治療効果にも個人差が大きいため治療中は経過の診察が大切です。毎日鏡で自分を見ていると、症状の変化に気づかないことは多いものです。細かい症状の変化をみて、必要に応じて治療を変えられるように定期的な診察を丁寧におこなっているクリニックを選ぶことをおすすめします。

    ③診察のための手間が少なく継続しやすい:AGAの治療には乱れたヘアサイクルを正常に戻す必要があるため、最低でも半年以上という長期的な継続が大切です。継続治療には診察にかかる時間や通院の手間が少ないことは大事な要素のひとつです。オンライン診療を利用すれば、自分の都合のいい時間や場所で診察を受けられます。診察の手間がネックでAGA治療が続けられなかったという経験がある男性は、オンライン診療を検討してはいかがでしょうか。

    まとめ|海外製のAGA治療薬には危険なものがある

    AGAの症状である薄毛や抜け毛が気になり出すと、早く効果が出る治療薬を使用したいと思う気持ちはわかります。海外製のAGA治療薬には日本のAGA治療薬よりも有効成分が高配合されているものや、安価なものも多数あります。しかし、海外製のAGA治療薬は日本人の体に合わせて作られた医薬品ではないため、使用により思わぬ健康被害が起きる可能性があります。また、海外製のAGA治療薬を購入する際個人輸入を利用することで悪質な業者と取引して金銭的な被害を受ける可能性もないとはいえません。安心安全なAGA治療のためには、信頼できる専門医のもとで自分の症状に合った治療薬の処方を受けるようにしましょう。

    監修した医師の紹介

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    ■この記事の著者■ AGA薄毛予防治療クリニック 医師

    柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)

    名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。

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