【個人輸入は危険！】AGA治療薬をネット購入する前に知っておきたいこと

AGA(男性型脱毛症)の発症には様々な原因があります。

よく薄毛や抜け毛の原因が男性ホルモンかのように話にあがることが多いのですが、厳密には男性ホルモンが直接抜け毛や薄毛の原因ということではありません。男性ホルモンには睾丸（精巣）や副腎で合成・分泌されているといわれているテストテロンと呼ばれるものがあります。
テストテロンは男性の機能の維持や筋肉の量を増やしたり・また筋肉を肥大させる作用などがあります。
このテストテロンと呼ばれるものと5αリダクターゼ（5α還元酵素）と呼ばれるものが結びつき「ジヒドロテストロン（DHT）」と呼ばれる男性ホルモンに変換されます。このジヒドロテストロン（DHT）がホルモン受容体に取り込まれて、毛母細胞の働きを低下させ毛髪の成長サイクルが短くなり、結果ハリ・コシのある髪の毛が生えにくくなります。毛髪の成長期が短くなり・髪の毛が成長する前に抜けてしまう、これが男性型脱毛症(AGA)の原因となります。

「親が薄毛だったから自分もそうなるかもしれない」「ハゲは隔世遺伝すると聞いたから、家系にハゲがいると自分もハゲる」などよくある会話ですがこれはもっともらしい男性型脱毛症（AGA）の原因となります。
AGAは遺伝的要因が強く、薄毛の８割以上の原因はこの遺伝によるものであるとの報告があります。この遺伝は父親と母親両方から受け継ぐ可能性があり、主に隔世遺伝といわれる遺伝子は母親の祖父・曾祖父の遺伝によるものです。とはいっても遺伝を受け継いだからと言って１００%、AGAを発症するわけではありません。AGAはA（Androgen（男性ホルモン）＋G（genetic（遺伝）＋A（Alopecia（脱毛症））の略、上述のホルモン受容体が遺伝的に多いほど男性型脱毛症が発症しやすくなる傾向にあります。これらの遺伝子は遺伝子検査を行っている機関では「どのくらいの確率でAGAになるか」を調べることも可能です。

人間はストレスを感じるとそれに抵抗するように交感神経が活発化されます。交感神経は心臓や肺を平常時と比べ早く動かしたり、また体温調整をしたり自然にストレスに抵抗する準備をしていきます。
強いストレスが長く続いた際にこの交感神経が正常に機能しなくなり頭部への血流が悪くなり栄養が行き届かなくなると脱毛症を引き起こします。

毎日外食かコンビニ弁当、ファーストフードが大好きといった方々は要注意です。バランスの良い食事を摂るということはなかなか難しい方が多いと思いますが毎日の食生活が薄毛・抜け毛の原因になっている可能性があります。

毛髪の成長は一般的に夜間・就寝中の副交感神経が優位なときに分泌されます。成長ホルモンを分泌させるために副交感神経が最も活発になるとされる夜10時～深夜2時の時間帯にきちんとした睡眠、ノンレム睡眠と呼ばれる脳や肉体の疲労回復のために重要とされている深い眠りが必要になってきます。

AGAの進行サインはいくつかあります。自己判断ができる症状としては、
・毛髪全体のボリュームが少なくなった。
・毛髪が細くなった。
・抜け毛が増えた。
・おでこが広くなった。
などの自覚症状が挙げられます。AGAは人数にすると日本人成人男性の3人に1人が発症しているといわれているため、とても身近なものです。そのためこのような症状についてハッとする方もいるかもしれません。放っておくと症状が進んでしまうのがAGAの特徴です。そのため少しでも変化に気付けるように毎日の観察は大切になってきます。後頭部の薄毛などには案外自分では気付きくいものです。意識して合わせ鏡などをして後頭部の確認を行ったり、家族や友人に確認するのもいいかもしれませんね。

冒頭で少し触れました部分がありますが、主に医療機関で購入することができます。AGA治療薬として厚生労働省が発毛の効果を認めているものに関しては「国内承認薬」として医療機関での処方が可能です。医薬品の扱いですが保険は効かないため自己負担となります。その他に、インターネットで購入するという方法もあります。国内承認薬、その他国内では未承認のAGA治療薬含め輸入サイトを通して個人でインターネット購入が可能です。この場合、医療機関を受診するより安い金額で購入することができ、国内でも「安くAGA治療薬を手にしたい」という方のために大手サイト含め多くのサイトが数多く存在しています。しかしインターネットでの購入は様々なリスクがあり、安価だからと手を出してしまうのは危険です。後にインターネット購入でのリスクについても解説していきます。

【リアップ】
リアップは国内で知名度が高いAGA治療薬として有名ですので、聞いたことがある方も多いかもしれません。壮年性脱毛症における薄毛・抜け毛の進行予防や、育毛・発毛効果が認められている国内でも知名度が高い治療薬です。リアップは血流を促進して髪の細胞に栄養を届け、毛根を健やかに保つ働きがあります。また毛髪を作る場所（毛母細胞）を活性化し、新しい髪の毛をはえやすくしてくれる働きがあります。リアップはドラックストアなどでも手に入れることができ、処方箋が必要ないため必要な時に購入することができます。その他リアップのジュネリックも同様です。
【ロゲイン】
AGA治療薬であるミノキシジルを配合した塗り薬です。ミノキシジルの血管拡張作用により毛乳頭細胞や毛母細胞が活性化され、発毛を促進する働きがあります。ドラックストアなどでは購入することができませんが、受診した医療機関で取り扱いがあれば処方されることもあるようです。その他インターネット通販で購入することができます。

【ロニテン】
AGA治療薬であるミノキシジルを配合した内服薬です。ミノキシジルの血管拡張作用により毛乳頭細胞や毛母細胞が活性化され、発毛を促進する働きがあります。国内では承認されておらず、インターネットでの購入により入手できます。その他ロニテンのジュネリックも同様です。

【プロペシア】
プロペシアはAGAの原因であるDHTが生成されるのに不可欠な5α還元酵素と呼ばれるものをブロックすることでDHTが作られるのを抑制します。毛髪の成長期が長くなり、細くなった髪の毛にコシ・ハリが生まれ、休止期にある毛穴から髪の毛が成長するため、AGA改善の効果が期待できます。その他ジュネリックでも同等の効果が得られます。プロペシアは医師による処方箋があれば医療機関で受け取ることができます。

【ザガーロ】
ザガーロはAGAの原因であるDHTが生成されるのに不可欠な5α還元酵素と呼ばれるものをブロックすることでDHTが作られるのを抑制します。毛髪の成長期が長くなり、細くなった髪の毛にコシ・ハリが生まれ、休止期にある毛穴から髪の毛が成長するため、AGA改善の効果が期待できます。DHTを生成する5a還元酵素にはⅠ型とⅡ型があり、プロペシアはⅡ型を阻害するのに対しザガーロはⅠ型・Ⅱ型共に阻害できるためプロペシアでは改善が見込めなかった方でもザガーロで改善した症例は多くあります。その他ジュネリックでも同等の効果が得られます。こちらも医師による処方箋があれば医療機関で受け取ることができます。

AGA治療薬がインターネットで購入できるということは既にお分かりいただいたと思いますが、正確には「個人輸入ができる」です。厚生労働省は基本的に国内未承認薬のAGA治療薬の使用を認めていません。しかし、国内未承認薬を「個人のために個人輸入する」場合のみインターネットなどでの輸入サイトで購入することを認めており、国内未承認薬だからといって使用したから犯罪になるというわけではありません。楽天やAmazonなど有名な大手サイトにこういったAGA治療薬がないのはなぜか疑問に思った方もいらっしゃるかもしれませんが、こういった行為は他者に利益目的で売る「転売」になってしまうためこの場合は犯罪となってしまいます。そのためAGA未承認薬などを購入する際は、あくまで「自分のために使う分だけ輸入する」ということが前提になってきます。ただし、個人輸入に関しては全てにおいて自己責任の扱いになってしまうため、万が一健康被害などが起きた際にも責任は全て個人にあるとみなされます。

残念ながら全世界で流通している薬の中に１割はニセモノの薬が紛れ込んでいると言われています。本物の薬と見分けが付かないくらい巧妙に作られているものもあり、一部はプロでも見抜くことが難しいようです。また、ニセモノの中には同様の成分のものから、全く違うものまで様々で、重大な健康被害をもたらす可能性があります。購入する際に気を付ければいいのではないか？　と考える方もいると思いますが、購入画面の参考画像などだけ本物の画像だったりと、なかなかニセモノと本物を見分けるのは難しいといえます。国内の大手通販サイトでは信頼度の高い輸入サイトもあり、今は口コミなどで様々な情報を確認することもできますが、そういった部分も含めて薬全般における個人輸入は慎重に判断しなければなりません。

クリニック・病院などで受診の上処方されるAGA治療薬ではなく、個人輸入の通信販売などに代表されるものについては想定しえない副作用が生じる可能性があります。以下は一般的な副作用について解説しています。

ミノキシジル外用薬は肌に合わないと塗布部などのかゆみ、ふけ、発疹などが起きる可能性があります。こういった症状が出た際には直ちに使用を中止し、医師に相談するようにしましょう。

・動悸
・心拍数増加
・血圧低下
・息切れ
・むくみ、体重増加
・全身の毛量増加　など
代表的な副作用として上記のような副作用が報告されています。ミノキシジルは血管拡張の作用があるため心拍数の増加が発生してしまったり、血管拡張のための血圧低下により動悸などを生じる可能性があります。また、まれではありますが重篤な副作用として肝機能障害を引き起こす可能性があります。これは薬全般が肝臓で代謝されることにより発生すると考えられていますが、肝臓での障害は気付きにくいことも多いため、かかりつけの専門医のもと血液検査などで健康観察を行う必要があります。

・勃起機能不全（ED）
・射精障害
・精液減少
・性欲減退　など
「AGA治療薬でEDになる」などといったことを耳にした方もいらっしゃると思います。男性にとってフィナステリドの副作用はとても怖いものに感じますよね。これはフィナステリドの効果により男性ホルモンを抑制するためだといわれています。しかし発症はまれで１%～５％未満の割合といわれています。勃起機能不全に関しては１％未満と頻繁に起きる副作用ではありませんが、異変を感じたらすぐに医師に相談するようにしましょう。

・勃起機能不全（ED）
・射精障害
・精液減少
・性欲減退　など
デュタステリドはフィナステリドと類似しており、フィナステリド同様の副作用が発生する可能性があります。フィナステリドよりデュタステリドの方が血中薬物濃度の持続期間が長く、発毛効果を実感できる方の割合が高く効果がより高いと考えられますが、全体的にフィナステリドよりも副作用の発生頻度が少し高くなっているのが特徴です。

代表的なAGA治療薬の副作用を解説しましたが、インターネットで安価に簡単に購入できるわりには様々な副作用のリスクがあると思いませんか。インターネット購入は便利な分、万が一副作用になった際にかかりつけの専門医がいないとすぐに対応できない可能性もあり大変危険です。そのためやはり安全にAGA治療するためにおすすめな方法は、専門医院やクリニックを受診し、正しく薬を服用することです。また必ずしも薬が必要とは限りませんし、AGAに似た円形脱毛症といった症状もあり自己判断が正確にできない場合もあります。そのため医療機関を利用するというのはとても理にかなっており、健康の不安を減らすためにも必要です。

今回はインターネット通販によるAGA治療薬のリスクを起こりうる副作用を踏まえて解説してきました。いかがだったでしょうか。中には重篤な副作用もあり、「AGA治療が怖い」と思ってしまった方もいるかもしれません。しかし医療機関ではすぐに副作用に対応できるよう万全の対策をして患者さん一人ひとりと接しています。まずは医療機関で医師に相談することが正しいAGA治療の第一歩といえます。