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【医師監修】毛髪の損傷が薄毛の原因に | AGA薄毛予防治療クリニック
2022.02.21
ヘアカラーやパーマをかけている方は注意!毛髪の損傷は大敵です
AGA(男性型脱毛症)は、CMや様々な広告により目にする機会が多く、多くの方にとって知られている病気のひとつとなってきました。AGAは現在日本の成人男性4,200万人のうち、1,260万人はなっているとされる男性型の脱毛症で、薄毛・抜け毛・脱毛を引きを超してしまいます。
本日は意外と知られていない毛髪へのダメージについて解説したいと思います。
だれしも常に清潔で美しくありたいと思っているでしょう。それにはファッションやメイクだけでなくヘアスタイルも大事な要素の一つです。ヘアスタイルにも流行があるためパーマやカラーリングをしたり、毎日の髪の手入れのためブラッシングをしたり、熱ブローで髪型を整えたりしますと一見美しい髪になったように見えますが実は髪はどんどん傷んでいっているのです。顕微鏡などを使ってミクロで観察するとブラッシングやブローが原因で髪は傷んでおり、目で見るのとは異なりそれほど美しい状態ではないのが現実なのです。
■著者■ AGA薄毛予防治療クリニック医師
柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)
名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。
これまでの薄毛解消の実績含めてプロペシア・ザガーロ・フィナステリド・デュタステリドなどのAGA治療薬の適切な処方に定評がある。
日々進んでいる、あなたの髪の毛の損傷
知らず知らずのうちに髪の毛はダメージを受け、長い間に損傷が蓄積されています。その損傷の程度は日々進んでかなり厳しい状態にあることが多いのです。損傷はブラッシング、ドライヤー、熱ブロー、パーマ、カラーリング、紫外線など普段意識していないようなことでも原因になっていることが多いのですが、毛髪に関する調査をすると損傷に対する意識は高いのです。つまり髪の毛の傷みには関心があるのですが、きれいに見えれば損傷はされていないと思ってしまうのかもしれませんし、どんなことがどのくらい髪の毛に悪いか十分理解されていないのかもしれません。毛髪はそのような外からの刺激による損傷で変化をしていきますが、どのように変化をしていくか考えてみましょう。
パーマ処理の影響
初めにパーマ処理の原理について簡単に述べます。毛髪は主にケラチンと呼ばれるタンパク質から構成されています。前回の『髪の毛は何からできている』で述べましたが髪の毛の表面はキューティクルと呼ばれる細胞で取り囲まれています。内部はコルテックスと呼ばれ、この部分は主にケラチンでできており全体の85~90%を占めています。
このケラチンというタンパク質の結合状態がヘアスタイルに大きな影響を与えています。毛髪はミクロフィブリルという微細な繊維が無数に集まっていますが、その繊維をバラバラにならないように強く結合されて強い繊維になっています。多くある結合のうち一部の結合がパーマの第一剤により切断されます。その後毛髪をストレートヘアやウエーブのかかったヘアスタイルなど望むヘアスタイルにした状態でパーマの第二剤により結合が再形成され好みの髪形の状態で固定されます。この再結合は強く、日常の洗髪や整髪行動ではほとんど切れることのない固定となりヘアスタイルは持続します。パーマの第一の薬剤は還元剤といい、第二の薬剤は酸化剤といわれるものですが、第二剤を使用しないパーマの方法もあります。第二剤を使用しない場合は、空気中の酸素により酸化させるため固定は弱く、第二剤を使用した時の方が固定はより長持ちするようです。そこでパーマ処理によりどんな弊害があるかといいますと、まず毛髪からタンパク質が溶けだしてしまったり、毛髪の脂質が減少したり毛髪の強度(毛髪を引っ張った時の切れやすさ)が低下することなどが認められています。頭皮に対する刺激も強く、皮膚の乾燥や炎症を起こしたりすることがあるため薄毛の原因にもなりかねません。またパーマ処理により毛髪の表面のキューティクルがブラッシングなどの摩擦に弱くなり、はがれやすくなっているのです。過度のパーマ処理を行った場合にはキューティクルの激しいめくれや断毛といった損傷がみられる場合があります。過剰なパーマ液により毛髪の表面にスジ状の凸凹がみられたり、必要以上にタンパク質の結合が切れて弱くなったりと大きな影響が出ます。このような損傷を最小限にするにはパーマ処理液の量などを正しい条件で行うことが大切なのです。
カラーリングの影響
次にブリーチや毛染めなどカラーリングの影響について考えてみましょう。ブリーチ処理は毛髪中のメラニンを酸化剤で分解し脱色をする方法です。また毛染め処理は色素前駆体と呼ばれる物質を毛髪中で酸化処置をして染色させる方法です。オシャレ染めはブリーチと毛染めを同時に行う方法です。毛染めもブリーチもオシャレ染めも酸化剤を用いた酸化反応によるものです。酸化剤は過酸化水素という物質が主成分ですが、酸化処理を毛髪内で効率よく行うためにアルカリ材(還元剤)を用いて強いアルカリ性の領域で処理が行われるようにしています。このことからアルカリによる損傷も起こすと考えられています。つまり酸とアルカリの両方で髪の毛は痛めつけられているということです。カラーリングの弊害として、酸やアルカリでの処理により毛髪中のたんぱく質の溶出が起こることが確認されています。また毛髪の脂肪分が分解されてしまいます。毛髪の脂肪分は毛髪表面のなめらかな感触に関係する重要な機能があり、毛髪が水をはじく作用の元にもなっています。そのためカラーリング処理した毛髪はギシギシした感触になってしまいます。毛髪の色についてですが、メラニンという色素で髪は黒色から金髪まで色がついていますが、メラニン自体は強い物質で水や有機溶剤(トルエンなど)にも溶けず、酸でも分解しないため普段のシャンプーなどでは毛髪からメラニンが抜けてしまうことはないのです。しかしカラーリングで使う過酸化水素などの酸化剤ではメラニンは酸化分解し水に溶けるようになり、水につけているだけでメラニンが溶け出し続けていきます。適切に酸化剤を洗い流すことが大切です。
カラーリングをしたことのある方としたことのない方の髪の毛の表面を顕微鏡などで細かく観察をして比較をしてみます。カラーリングをしたことのある髪の毛は表面にあるキューティクルがはがれたり荒れた状態になっておりまたほとんど失われ部分もあり、髪の毛の主体であるコルテックスが露出していたりすることが多いのです。これはカラーリング処理によりキューティクルがもろくなり日常のブラッシングなどでキューティクルが剥がれ落ちてしまうためと考えられています。キューティクルをもっと詳しく見ると表面に穴が開いていたりスジ状の凸凹がみえたりと、キューティクルが損傷されていることが確認できます。またブリーチした髪の毛では、比較的小さな力を繰り返し入れると、健常な髪の毛では速やかに元の状態に戻るのに対しブリーチした髪の毛では戻りが遅く、ブラッシングなどで徐々にストレスが蓄積されていくため切れやすくなっていることが分かっています。カラーリングした髪の毛ではタンパク質が分解され、そのタンパク質が溶け出してその結果髪の毛の内部(コルテックス)はスカスカの状態になっていることが分かっています。ブリーチは髪の毛の中のメラニンという黒い色素を分解し溶け出させる処置ですが、光にあたるとメラニンがなくなった髪の毛では内部に空洞があるため光は散乱し、光のコントラストが低下するためツヤ感が失われることになります。健常な黒髪ではキューティクルが光を反射しツヤのある髪の毛になっているのです。ブリーチも含めカラーリングは髪の毛のキューティクルを傷つけ剥がれ落ちやすくし髪の毛の主体であるコルテックスからタンパク質が溶け出てカスカスになり折れやすく弱い髪の毛になってしまうということです。
紫外線の影響について
日頃意識していない方が多い「紫外線」もあなたの頭皮・毛髪に影響を及ぼし薄毛の原因になっている可能性があります。
直射日光で頭皮に炎症が起こったりすることがあるのですが、日光はその波長から赤外線、可視光線、紫外線に分けることができる。さらに紫外線は波長の長いものからA波(UVA)B波(UVB)C波(UVC)に分けられます。このうちC波はオゾン層で遮られるため地球表面には届きにくいことから、髪の毛に影響を与えるのはA波とB波になります。紫外線に当たることにより髪の毛のアミノ酸の減少がおこり、また脂質の減少もみられています。これらの変化はカラーリングをした髪の毛と同様な損傷が認められています。光による髪の毛の変化として広く知られているものに色調の変化があげられます。ブラウン毛やブロンド毛では光による変化は明らかですが、黒色の髪の毛の場合には分かりにくいことがあります。しかし詳細に観察すると黒い髪の毛も色調が赤く変化(赤色化)しているのです。光の照射量が多い程変化は大きくなっていきますが、赤色化は水の影響を大きく受けます。乾いた状態の髪の毛に日光が当たった場合に比べ、濡れた状態で日光に当たった場合では赤色化が促進されることが分かっています。同様に湿度が低い状態より湿度が高い状態のほうが赤色化しやすいです。一度くらい海水浴に行かれたことがあると思いますが、海水を被った時には淡水(川遊びやプールなど)を被った時以上に紫外線の影響は強くなり色調の変化が大きくなるのです。赤色化するのは紫外線や可視光線により髪の毛のメラニンの量が低下していることが原因ですが、カラーリング(ブリーチ)をした状態と似ているということです。髪の毛の強さはどうなるのかを実験したデータでは、紫外線などによりカラーリングやパーマと同様に引っ張り強度が低下しています。メラニンのない髪の毛(白髪など)に日光があたった場合にも強度が低下しますが、水にぬれた場合にも強度が低下することが分かっています。紫外線により毛髪の表面にあるキューティクルにも変化が起きています。紫外線の量とともにキューティクルの厚さが小さくなっていきます。日光によりキューティクルの表面が融解(溶けてしまう)すると考えられています。キューティクルは光の影響を受けやすくキューティクル間の結合力が低下してしまい、髪の毛の主体であるコルテックスに亀裂が起ることもあるのです。
熱による影響
紫外線以外にも熱による変化があります。ドライヤーで髪の毛を乾かす場合、繰り返し行うことでキューティクルの表面に縦方向の亀裂が生じることが報告されています。この亀裂は熱風を使用せずに乾燥した場合には生じないのです。これは熱を加えて乾燥させた時に髪の毛に急激な収縮が起こるためと考えられています。そして亀裂がみられる所は収縮によるストレスを受け脆くなっている部位であり、ここにブラッシングなどの摩擦力がかかるとキューティクルの剥離が生じることが確認されています。ブラッシングを繰り返すとキューティクルの剥離により髪の毛同士がもつれ枝毛が発生することが知られています。ブラッシング時は摩擦だけでなく引っ張りや曲げの力が働き、髪の毛のコルテックス亀裂から枝毛になるのです。この枝毛はブラッシングだけではなく、脆くなった髪の毛では強くねじった髪型の時にもみられます。
最後に
以上のようにパーマとカラーリングがいかに髪の毛に負担になっているか少しわかってもらえたでしょうか。しかしカラーリングをやめるわけにいかない方も見えると思いますので、回数を減らすとか薬液を最小限にするなどで負担を抑えていきましょう。パーマやカラーリングによる頭皮や髪の毛への負担は薄毛の原因になることがありますので注意が必要です。髪の毛への損傷はパーマやカラーリングだけでなく、紫外線、熱、ねじれなどでも生じます。
髪の毛はカラーリング、パーマ、紫外線、熱、ブラッシングなどいろいろなストレスが加わり脆くなります。これは髪の毛だけでなく、頭皮にも負担をかけています。長く負担が続けば薄毛の原因になります。予防としてカラーリングやパーマの回数を減らしたり、帽子や日傘を使ったり、冷風でドライヤーを使うなどそれぞれに工夫をしたり注意をすることが大切なのです。大事な髪の毛ですから薄毛にならないよう良い環境に保つことが必要なのです。
医師紹介
■この記事の著者■ AGA薄毛予防治療クリニック 医師
柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり) 名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。 これまでの薄毛解消の実績含めてプロペシア・ザガーロ・フィナステリド・デュタステリドなどのAGA治療薬の適切な処方に定評がある。 |