AGA治療は時間がかかる？原因とAGA治療で後悔しないための注意点を徹底解説

AGAの主な症状は、「薄毛や抜け毛」が生え際や頭頂部に出ることです。
症状の出方や進行スピードには個人差があるものの、AGAの原因やメカニズムは共通しているため治療薬による効果が期待できます。
ここでは治療を始める前の基礎知識として、AGAのメカニズムとAGA治療薬の種類や期待できる効果について詳しくみていきましょう。

AGAの発症メカニズムについて、原因と発症しやすさは次のように説明できます。

AGAの発症原因
AGAの発症は「テストステロン」という男性の骨や筋肉の成長にかかわる男性ホルモンが「5αリダクターゼ」という酵素と結びついて、「ジヒドロテストステロン」という別の男性ホルモンに変換されて増えることがきっかけになります。
ジヒドロテストステロンは男胎児の生殖器の成長や第二次性徴を促す働きを持ち、成人以降は皮脂分泌や前立腺の発症に影響を与えます。
ジヒドロテストステロンは「アンドロゲンレセプター（ホルモン受容体）」に取り込まれると、「TGF-β」という髪の成長をストップさせ抜けるよう促す「脱毛因子」を産生します。
そして、髪の成長と脱毛を切り替えるスイッチの役割を担う「FGF-5」がTGF-βの抜け毛指令を受け取ることで、成長途中の髪が抜け毛の増加や薄毛といったAGAの症状が現れます。

・5αリダクターゼの活性度が高い：AGAのきっかけとなるジヒドロテストステロンの生成量は5αリダクターゼの活性度が高いほど多くなり、個人差がありますが遺伝で引き継ぐことがわかっています。
5αリダクターゼ活性度の情報は性染色体ではなく常染色体に存在するため、両親どちらかの家系に活性度が高い人がいた場合遺伝する可能性があります。
・アンドロゲンレセプターの感受性が高い：脱毛因子の産生に影響するアンドロゲンレセプターの感受性の情報は、X染色体に存在するため母方の家系から遺伝することがわかっているため、母方の祖父や曽祖父などに感受性が高い男性がいた場合に遺伝する可能性があると言えるでしょう。
しかし、遺伝情報を引き継いだ全ての男性がAGAを発症するわけではありませんので、あくまで「発症しやすい可能性がある」という認識にとどめてください。

・プロペシア（フィナステリド）
商品名の「プロペシア」をご存知の方も多いでしょうが、成分名は「フィナステリド」で、5αリアクターゼのはたらきをブロックする作用があります。
1日1回自分で決めた時間に服用することでジヒドロテストステロンの生成を抑え、薄毛や抜け毛の予防や治療効果が期待できます。
「フィナステリド錠」という商品名のジェネリック医薬品も発売されており、厚生労働省がAGA治療薬として承認しています。”

・ザガーロ（デュタステリド）
「ザガーロ」という商品名でプロペシアの後に製造された「デュタステリド」という成分の治療薬です。
フィナステリドと同じく5αリアクターゼをブロックする作用があり、フィナステリドが5αリアクターゼⅡ型のみを阻害するのに対し、デュタステリドは5αリアクターゼⅠ型Ⅱ型の2種をブロックします。
もともとは前立腺肥大症の治療薬として保険診療に使われていますが、AGA治療薬としては保険適応外となります。
こちらも「デュタステリドカプセル」というジェネリック医薬品が発売されており、厚生労働省がAGA治療薬として承認しています。

・ミノキシジル外用薬
「リアップ」という商品が有名ですが、「ミノキシジル」という成分の外用薬で各製薬メーカーから多くの商品が発売されています。
ミノキシジルはもともと高血圧治療薬として内服薬が使用されていましたが、血管拡張による血行改善作用を利用して髪の細胞分裂を促し成長させる効果が期待できることから、AGA治療薬として再開発されました。
日本ではミノキシジル濃度5％以下の外用薬製品のみ厚生労働省が承認しており、区医療機関での処方以外にも第一類医薬品としてドラッグストアなどで購入可能です。

「AGAの薄毛には治療薬がある」と聞くと、治療に即効性を期待する方が多いかもしれません。
しかしAGAの治療薬は、自分に合ったものを正しく使用できないと効果が感じられない可能性があります。
ここではAGA治療の効果がなかなか出ないと言われる原因6つについて解説します。

AGA治療による効果の実感には、開始から少なくとも3ヶ月から6ヶ月継続する必要があります。
AGAの抜け毛の原因はジヒドロテストステロン由来の脱毛因子ですが、抜け毛のメカニズムには髪の生え変わり周期の「ヘアサイクル（毛周期）」がかかわっています。
ヘアサイクルは「成長期」「退行期」「休止期」に分かれており、成人男性では全サイクルが3〜5年で成長期がそのうちの80〜90％を占めています。
しかし、AGAにより脱毛因子がはたらくと、成長期が1年程度に短縮されヘアサイクルが乱れることで髪が成長できず、薄毛や抜け毛症状が出るのです。
AGA治療薬でジヒドロテストステロンの生成を抑えたり、頭皮の血行を促進し髪の元の細胞を活性化させヘアサイクルの乱れを正常に戻す効果が期待できますが、乱れたヘアサイクルが正常に戻るには3ヶ月以上かか流と言われています。
そのため、AGA治療を始めてから少なくとも3ヶ月は効果が実感できない可能性がある、ということになります。

薬にはそれぞれ決められた「用法用量」があり、自己判断で使用方法を変えると効果が出にくくなる可能性があります。
AGAの内服薬は1日1回同じ時間で服用し、ミノキシジル含有の外用薬は1日1〜2回頭皮に塗布するよう用法が決められていますが、飲み忘れが多かったり塗布回数が少ないなど正しい使い方ができない場合は、薬の血中濃度が一定しないため効果が出ても継続しなかったり効果そのものが現れにくいと言えるでしょう。
また、薬を処方や薬剤師在住のドラッグストア以外の個人輸入などで手に入れた場合、製品が偽物の可能性があります。
薬が偽物だったり有効成分が入っていなければどんなに治療しても効果は感じられないため、個人輸入や非正規ルートでのAGA治療薬の購入はお勧めできません。

AGA治療薬を使い始めて10日程度経過すると、乱れたヘアサイクルを正すためにうまく成長できなかった髪が抜け始めます。
これを「初期脱毛」と呼んでおり、初期脱毛は1〜2ヶ月程度で落ち着いてくると言われています。
この初期脱毛中に成長できないまま抜けてしまった「細く短い毛」が増えることが、AGA治療を始めたら治療前よりも抜け毛が増えて効果がないと感じる原因になります。
初期脱毛はミノキシジルの使用で現れやすいため、ミノキシジル外用薬を利用する場合は覚えておきましょう。

プロペシアやザガーロなどの「5αリダクターゼ阻害薬」は、使用中のみ効果が期待できる薬ですのでやめたり休むと効果が期待できません。
使用を中断すると、ジヒドロテストステロンの生成を抑えられなくなり、AGAがまた進行する可能性が高くなります。
これは治療を始めて1年以内などの早い段階では特にあり得ることですので、治療効果が実感できないからと自己判断でやめたり休むと、効果が出ないばかりかAGAの薄毛や抜け毛症状がさらに進む恐れがありますので注意しましょう。

AGAにおける進行パターンを見ていくと、前額部や頭頂部の薄毛から始まり脱毛範囲がだんだん広がり側頭部と後頭部を残しアルフベットの「U字」型に広範囲な脱毛が見られるようになります。
このように症状が進んでいる場合は、治療を始めてもなかなか効果が感じられない可能性があります。
髪が抜けて生えていない状態が長い毛根は、髪の元となる細胞が萎縮し栄養を運ぶ毛細血管とのつながりも弱くなっていることが多く、ヘアサイクルが正常に戻るまでには通常より長い時間がかかったり戻りにくい可能性があります。

成人男性の薄毛や抜け毛の原因の大半はAGAと言われていますが、薄毛や抜け毛を引き起こすのはAGAだけではありません。
薄毛や抜け毛症状が特徴の脱毛症にはここに挙げた例に可能性がありますので、特徴が当てはまる場合はAGAの治療では効果が感じられない可能性が高いでしょう。
・円形脱毛症：円形や楕円形の境界がはっきりした脱毛斑が特徴
・脂漏性脱毛症：脂漏性皮膚炎が原因で、黄色くベタついた皮脂の混じった大量のフケが特徴
・牽引性脱毛症：長期間髪を強く引っ張ることで頭皮が弱くなり髪を維持できず抜け毛が増える

AGA治療においては効果の実感までにかかる時間は個人差が大きく、進行程度によっても変わってきます。
ここでは少しでも早くAGA治療の効果を実感するためにできることを紹介します。
すでに治療中の男性にもできることですので、ぜひ参考にしてください。

AGA治療薬は決められた用法用量で効果が期待できるため、きちんと守ることが大切です。
そのため内服薬も外用薬もできるだけ同じ時間に使いましょう。
薬は体内に入ると、胃で分解された後肝臓で代謝されて血液によって全身に運ばれますが、同じ時間に使用していると血中の成分濃度が変わりにくいため、不規則な時間で使用するよりも効果が一定しやすいと言われています。
毎日忘れずに同じ時間に使用を継続することが、治療効果を高めることにつながるでしょう。

AGA治療薬は専門医師の診断を受けて処方してもらうことが重要です。
AGAの症状はそれぞれ違い、他人と同じ治療では効果が感じられないことはもちろん、自己判断でやみくもに治療薬を使用すると思わぬ健康被害をまねくおそれがあります。
個人輸入や非正規ルートで販売されている治療薬を使用した場合、重大な副作用や健康被害があっても国が定めている「副作用救済措置」は受けられません。
定期的な専門医師の診断を受けていれば体の異変にすぐ対処できますし、もし重大な副作用があっても承認薬であれば救済措置が利用できる可能性が高いため安心です。
症状の変化に応じた処方が安心して受けられることは、治療効果を高めるポイントと言えるでしょう。

「AGA治療を始めたものの、効果が出ない」と後悔しないためには、治療を受けるクリニック選びが重要です。
AGAは個人差が大きいため、それぞれの症状に合わせた治療のためには専門知識と豊富な実績があるなど医師の信頼度や、治療継続に負担が少ない価格設定など重要なポイントがいくつかありますので、詳しくみていきましょう。

薄毛や抜け毛の原因にはAGA以外の脱毛症や生活習慣によるものなどがあるため、AGAなのかをしっかり診断できるクリニックで治療することが大切です。
そのためには、AGAを専門に治療している医師が在籍していて、治療実績や症例が多いクリニックを選びましょう。
医師の経歴や治療実績と症例数は、クリニックのHPをチェックしてみることをおすすめします。

AGA治療は保険適応外のため、診察料や処方薬の価格が各クリニックによって異なります。
そのため同じ薬でも価格が違うことがありますが、薬の価格だけを見て治療代を判断せずに診察料や検査料などもチェックしましょう。
最診療など通院のたびにかかる費用を薬代とセットにすることや、通院に交通費がかかる場合はプラスして検討することをおすすめします。

AGAの内服や外用治療は自宅でできるため、基本的に通院する必要はありません。
そのため希望すれば数ヶ月単位の長期処方が可能なクリニックも多く、忙しい男性にとってはメリットが多いと言えるでしょう。
しかし、処方だけして経過の診察がないというクリニックの治療では、薬の効果がよくわからず継続に不安を覚える可能性がありますので、定期的な診察とカウンセリングを重視しているクリニックを選ぶことがポイントです。
症状に変化があった場合や効果が感じられない場合などに、どういう症状があってどうなりたいのかの相談に親身に応えてくれることが大切ですので、気になることはすぐに問い合わせてみることをおすすめします。

AGAの治療は長期にわたることが多いため、気になることがあった際にすぐ相談できる信頼できるクリニックを選ぶことが大切です。
オンライン診療や処方薬の配送を行なっているクリニックでは、診察にかかる待ち時間がないため自分の都合で診察が受けられます。
すぐに診察してもらいたい時に、長時間の通院時間や待ち時間がないというのは治療の続けやすさの大きなポイントになるでしょう。
また、希望の場所に処方薬が届くため、自宅に薬を置きたくない場合などに便利なこともメリットになります。
後悔しない安心安全なAGA治療のために、続けやすいAGA治療が受けられるクリニックを選びましょう。

AGA治療薬の効果は実感できるまでに時間がかかります。
とはいえ治療を始めたのに効果が感じられなければ不安になるでしょう。さらに治療中に抜け毛が増える「初期脱毛」が起きると、思いもよらない抜け毛の増加に治療を中止したくなるかもしれません。しかし、AGA治療薬は抜け毛を引き起こす原因にアプローチしヘアサイクルを正常にするため、継続していけば抜け毛や薄毛の予防治療効果が期待できます。継続のためには、不安な気持ちや症状の変化に真摯に対応できるクリニックを選ぶことが大切です。まずはオンライン診療で気になる症状について気軽に相談してみましょう。

■この記事の著者■　AGA薄毛予防治療クリニック　医師

柏﨑　喜宣　（かしわざき　よしのり）

名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。