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フィナステリドからデュタステリドの変更はアリ?効果や副作用の違いを徹底解説
AGA(男性型脱毛症)の治療にはいくつかの方法がありますが、代表的な治療として「フィナステリド」という成分で一般的に「プロペシア」という商品名で知られている内服薬を使用して、AGAの主な症状である抜け毛を減らして新たな抜け毛を予防する方法があります。
フィナステリドはAGAの原因にアプローチして根本的に治療ができるとして高い評価が得られていますが、中には効果が感じられないという男性の声も聞かれるようです。
効果を実感できない場合に、同じ種類で後から発売された「デュタステリド」という成分で一般的に「ザガーロ」という商品名が知られている内服薬に変えようと検討するかもしれません。
そこで今回は、AGA薬のフィナステリドとデュタステリドについて、効果や副作用の違いや変更した場合のメリットデメリットについてくわしく解説します。
また、AGA薬の変更以外にできる治療効果を高めるための対策方法についても紹介しますので、フィナステリドによる治療について、継続するか切り替えるか考えているという男性はぜひ参考にしてください。
【記事のポイント】
・フィナステリドとデュタステリドとは
・AGAにおけるフィナステリドとデュタステリドの効果と副作用の違いとは
・フィナステリドからデュタステリドに切り替えるメリットとデメリットとは
・フィナステリドの変更以外にできるAGA対策方法とは■この記事の著者■ AGA薄毛予防治療クリニック 医師
柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)
名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。
フィナステリドとデュタステリドとは
フィナステリドとデュタステリドは厚生労働省が承認しているAGA治療薬で、保険適用ではない自費での処方薬です。
両者とも主な働きは「5αリダクターゼ」という酵素の働きをブロックするため、「5α-還元酵素阻害薬」に分類されています。
薬の分類は同じですが、それぞれをAGA薬の基礎知識としてくわしく見ていきましょう。フィナステリドとは
フィナステリドはもともとアメリカで「前立腺肥大症」の治療薬として1992年に「プロスカー」という商品名で開発されましたが、使用者の抜け毛や薄毛が改善したという報告が多く上がったため、薄毛の治療薬として再研究され1997年に男性型脱毛症の治療薬として認可された経緯があります。
日本では2005年に厚生労働省から承認を受け、「プロペシア」という商品名で発売が開始されました。
プロペシアという製品はMSDという製薬会社で作られていますが、特許が切れた2015年以降さまざまな製薬会社からジェネリック医薬品が作られ一般に流通しています。
ジェネリック製品は「フィナステリド錠〇〇」と、〇〇の部分に各製薬会社の名称がついた表記になっていますが、全て主成分は同じフィナステリドとなっています。デュタステリドとは
デュタステリドは、フィナステリドと同じくもともとアメリカで前立腺肥大症の治療薬として「アボルブ」という商品名で使用されていましたが、プロペシアと同様にAGA治療薬として再研究され日本では2015年に「ザガーロ」という商品名で発売されました。
ジェネリック医薬品は「デュタステリドカプセルZA〇〇」と、各製薬会社の名称がついた表記で2020年以降発売されています。
前立腺肥大症の治療薬であるアボルブと、アボルブのジェネリックである「デュタステリドカプセルAV〇〇」の主成分は同じデュタステリドですが、AGAの治療薬としては承認されていないため注意しましょう。AGAにおけるフィナステリドとデュタステリドの効果と副作用の違いとは
フィナステリドとデュタステリドはどちらもAGA治療薬として厚生労働省に承認されているため、抜け毛や薄毛を抑える効果が期待できます。
プロペシアやザガーロといった先発医薬品とジェネリック医薬品は、製薬会社によって色や形状が違っていても治験で効果に差がないことがわかっているため、安心して使用できます。
ここではそもそもAGAとはどんな脱毛症なのかについてや、AGAに対する効果や副作用の違いについてくわしく見ていきましょう。AGAの原因とメカニズム
AGA(男性型脱毛症)は「Androgenetic Alopecia」の略で、男性ホルモンと遺伝が関係して成人男性の3人に1人が発症する薄毛や抜け毛絵を症状とする脱毛症と言われています。
AGAは進行性で、発症すると自然に治ることはなく症状が進んでいきます。
主な原因は「ジヒドロテストステロン(DHT)」という男性ホルモンのはたらきにより、髪の成長サイクルが乱れ髪が成長せずに抜けていくことで、ホルモンの生成や活性には遺伝的な要素が大きいことがわかっています。
「ジヒドロテストステロン(DHT)」は、男性ホルモンの一種である「テストステロン」と「5αリダクターゼ(5α還元酵素)」という酵素が結びついて変換されます。
ジヒドロテストステロンは血液の中で全身を巡りながら、前頭部や頭頂部に多く分布している「アンドロゲンレセプター(ホルモン受容体)」に取り込まれ、「TGF-β」という脱毛因子を産生します。
髪は「毛母細胞」が「毛乳頭細胞」からの発毛の指令と栄養の供給を受けることにより細胞分裂して成長していきますが、TGF-βは「FGF-5」という別の脱毛因子に指令を出して、「毛乳頭細胞」のはたらきを停止させます。
毛乳頭細胞の活動停止により、成長途中の髪が抜け薄毛症状が現れるのがAGAのメカニズムです。フィナステリドの効果
・薄毛の進行予防:AGAの原因のひとつとされている「ジヒドロテストステロン」はテストステロンと5αリダクターゼが結びつくことによって生成されます。
フィナステリドは5αリダクターゼⅡ型を抑制するはたらきがあるため、内服により体内で代謝されて血液内に成分が作用してジヒドロテストステロンの生成を抑えます。
ジヒドロテストステロンの生成が抑えられると脱毛因子が過剰に生成されなくなるため、抜け毛や薄毛の進行を防ぐ効果が期待できます。
・ヘアサイクルの正常化:髪は自然に生え変わりを繰り返しますが、このサイクルを「ヘアサイクル(毛周期)」と呼んでいます。
ヘアサイクルは成人男性で3〜5年で「成長期」「退行期」「休止期」に分けられ、毛母細胞が活発に分裂して髪が太く長く成長する成長期は、ヘアサイクルのおよそ80〜90%を占めています。
AGAでは、過剰に生成された脱毛因子のはたらきにより成長期が短縮しますが、フィナステリドのはたらきにより脱毛因子が抑制されることでヘアサイクルが正常に戻る効果が期待できます。フィナステリドの副作用*
・リビドー(性欲)減退:1〜5%未満
・勃起不全、射精障害、精液量減少:1%未満
・肝機能障害:頻度不明
フィナステリドの副作用の発生率は最も多い性欲減退で1%程度と言われています。
全身性の副作用としては、頻度はごくわずかですが肝機能障害があげられますのでもともと肝機能に問題がなければ定期的な肝機能の血液検査でフォローすることが大切です。
*参考:プロペシア添付文書(https://organonpro.com/jp-jp/wp-content/uploads/sites/10/2022/12/pi_propecia_tab-1.pdf)デュタステリドの効果
デュタステリドは5αリダクターゼⅠ型Ⅱ型阻害薬であり、フィナステリドと同じく「薄毛の進行予防」と「ヘアサイクルの正常化」が期待できます。
デュタステリドは5αリダクターゼⅠ型も阻害する作用がありますので、フィナステリドよりも広範囲に作用し脱毛因子の生成を抑えられると考えられます。
また、薬の成分濃度が半減するまでの時間を示す「半減期」が、フィナステリドでは6〜8時間なのに対しデュタステリドは2週間と大きな違いが見られるため、作用持続時間が長いことがわかります。デュタステリドの副作用
・勃起不全、リビドー減退、射精障害:1%以上
・乳房障害(女性化乳房・乳頭痛・乳房痛など)、発疹、頭痛、抑うつ、腹部不快感:1%未満
・肝機能障害、蕁麻疹、めまい、腹痛、倦怠感、多毛症:頻度不明
デュタステリドはフィナステリドよりやや副作用の発症率が高く、勃起不全は4.3%でリビドー減退は3.9%というデータが出ています。
フィナステリドよりも副作用が多く頻度が高い理由は、作用範囲が広いことと半減期が長いことが考えられます。
*参考:ザガーロ添付文書(https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00065940.pdf)フィナステリドからデュタステリドに切り替えるメリットとデメリットとは
AGA治療におけるフィナステリドとデュタステリドに期待する作用は、どちらも「ジヒドロテストステロン」の生成を抑えることです。
そのためどちらの治療薬を選択するのか迷うことが多いかもしれません。
また、フィナステリドを使用していて効果が実感できない場合は、デュタステリドへの切り替えを検討することもあるでしょう。
そこで、フィナステリドからデュタステリドに切り替えるメリットとデメリットについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。フィナステリドからデュタステリドに切り替えるメリット
・AGAの治療範囲が広くなる
AGAには、「M字」「O字」型と言われる前額部と頭頂部に薄毛症状が出る特徴があります。
脱毛因子を生成する「アンドロゲンレセプター」は前額部と頭頂部に多く分布しているため、これまでは5αリダクターゼⅡ型を阻害すればAGAの進行を抑えられるとされていました。
しかし、5αリダクターゼⅠ型もAGAの発症要因となる脱毛因子の生成に関与していることがわかってきたため、5αリダクターゼⅠ型Ⅱ型の両方を阻害するデュタステリドのAGA治療範囲が広くなるというメリットが考えられます。
・薬の作用時間が長くなる
デュタステリドは薬の半減期が2週間と長いため、作用がフィナステリドよりも長くなると言えます。
ジヒドロテストステロンの生成を抑制する作用時間が長いため、より効果が高くなると期待できるでしょう。フィナステリドからデュタステリドに切り替えるデメリット
・費用が高くなる
AGAは保険適用外の自費診療になるため医療機関によって価格に差がありますが、フィナステリドとデュタステリドの料金を比較すると、およそ20%程度の違いがある場合が多く見られます。
1ヶ月分では¥2,000〜¥3,000程度差が見られるため、治療費用が高額だと感じている男性にはデメリットになると言えるでしょう。
・副作用の種類と発生頻度が増える
フィナステリドとデュタステリドにはリビドー減退や勃起不全など共通した副作用がありますが、デュタステリドの方がやや発生頻度が高く、フィナステリドには見られない乳房障害やめまいや抑うつといった副作用が発生する可能性があります。
副作用は必ず起こるとは言えないため大きなデメリットととらえるかは個人の判断ですが、可能性があるということは覚えておいた方がいいでしょう。フィナステリドの変更以外にできるAGA対策方法とは
フィナステリドで効果が感じられないからデュタステリドにしたら効果が上がる、とは一概に言えません。
というのも、フィナステリドの作用が髪に現れるまでには少なくとも3ヶ月以上の服用期間が必要であり、正しい服用ができていなければ効果が実感できない場合があるからです。
また、生活習慣などの要因がAGAを進行させている可能性もありますので、以下について思い当たることがあれば、薬の変更の前に試してみることをおすすめします。
・6ヶ月以上服用する
・医師から指示された用法用量を守って服用する
・生活習慣や食生活を見直す
・フィナステリドの処方を受けたクリニックに相談する6ヶ月以上服用する
フィナステリドはジヒドロテストステロンによる脱毛因子の生成を抑え、ヘアサイクルを正常に戻すことで抜け毛を予防し薄毛を改善するため、ヘアサイクルの変化を実感するためには早くても3ヶ月以上必要です。
フィナステリドの臨床試験での治療効果は、6ヶ月以上服用したものと添付文書にも記載があります。
そのため服用を始めてすぐに「効果がない」と感じている場合は、6ヶ月服用して判断しましょう。
その際には自分の判断のみではなく、家族などの意見も聞き主治医に評価を受けるようにしましょう。
その上でやはり効果が実感できない場合は、薬の変更を検討することをおすすめします。医師から指示された用法用量を守って服用する
フィナステリドの添付文書には、用法容量について男性成人には0.2mgを1日1回経口投与することと、必要に応じて適宜増量できるが1日1mgを上限とするという記載があります。
また、飲む時間には決まりがないため自分の都合に合わせて飲み忘れがないよう決まった時間に飲むことが推奨されています。
容量の変更は症状に応じて医師の診断により決定されるため、自己判断でフィナステリドの量を増減することは効果や副作用の出現に影響する可能性がありますのでやめておきましょう。
また、頻回に飲み忘れがあったり飲む時間がバラバラでも、フィナステリドの効果が得られない可能性がありますので、毎日同じ時間に決まった量を飲むことを心がけましょう。ミノキシジル外用薬を併用する
ミノキシジルとは、血行促進作用と毛母細胞の活性作用がある成分で外用薬がAGA治療薬として厚生労働省に承認されています。
ミノキシジルは髪育てる発毛効果が期待できるため、フィナステリドとの併用で治療効果が高くなると期待できます。
フィナステリドの内服のみで効果が実感できない場合には、医師に相談の上ミノキシジルとの併用をおすすめします。生活習慣や食生活を見直す
AGAの進行には、頭皮環境の悪化や血液中の栄養や酸素不足など、髪の成長を妨げる要因が関係していると言われています。
そのため、睡眠不足や運動不足に加え、食生活を見直すことが大切です。
睡眠の見直しに重要なのは入眠後すぐに深い睡眠に入ることで、これは入眠後最初に訪れる深い「ノンレム睡眠」中に髪の発育を促す成長ホルモンが分泌されるためです。
入眠3時間前にはアルコールや食事摂取と入浴を済ませ、室内を暗くしてスマホやPCの使用をやめるようにしましょう。
また、運動不足の解消には毎日無理なく継続することが大切ですので、1駅歩く習慣をつけたりエレベーターを階段に変えるなど気軽にできることから始めましょう。
食生活では、髪の主成分である「タンパク質」を積極的に摂取するようにしましょう。
肉や魚などの動物性タンパクと大豆など植物性タンパクの両方をバランスよく取り、タンパク質代謝をサポートする緑黄色野菜などのビタミンB群C群や亜鉛などのミネラルも合わせて摂れるといいですね。フィナステリドの処方を受けたクリニックに相談する
医師の指示通りにフィナステリドを使用した上で生活習慣を見直しても効果が感じられない、という場合には処方を受けたクリニックに相談しましょう。
デュタステリドへの変更もひとつの方法ですし、症状によってはフィナステリドの増量やミノキシジルの併用も考えられます。
自己判断で安易に薬を変更して副作用に悩むことや、思ったより治療費用が高額になることも考えられますし、薬の変更で必ず効果が出るという保証はありません。
まずは処方を受けたクリニックに相談し、治療の経過と今の症状から最適な方法を選ぶことが大切です。まとめ|フィナステリドからデュタステリドの変更はアリ!医師とよく相談して決めよう
フィナステリドとデュタステリドは、どちらも厚生労働省により治療効果が認められているAGA治療薬です。
そのためフィナステリドで治療を開始した場合も途中でデュタステリドに変更することは可能で、どちらを選択するかは症状や予算など個人に合わせる必要があるでしょう。
より良い治療のためには、効果が実感できない時にすぐに相談できて対策を考えてくれるクリニックを選ぶことが重要です。
身近で続けやすいAGA治療には、オンライン診療やアプリでの相談受付などを積極的に利用してはいかがでしょうか。医師紹介
■この記事の著者■ AGA薄毛予防治療クリニック 医師
柏﨑 喜宣 (かしわざき よしのり)
名古屋大学医学部卒。創業以来日本全国のAGA・薄毛で悩む男女に対して適切な診察とAGA治療薬の効果最大化をしている。
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